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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル49巻1号

2015年01月発行

文献概要

報告

股関節内転制限および外転筋力がデュシャンヌ跛行に及ぼす影響について

著者: 熊谷匡晃1 岸田敏嗣2 林典雄3 稲田均4

所属機関: 1三重県厚生連松阪中央総合病院リハビリテーションセンター 2朝日が丘整形外科リハビリテーション科 3中部学院大学リハビリテーション学部理学療法学科 4三重県厚生連鈴鹿中央総合病院整形外科

ページ範囲:P.87 - P.91

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要旨:[目的]本研究の目的は,股関節内転制限および外転筋力がデュシャンヌ跛行に及ぼす影響を明らかにすることである.[方法]大腿骨近位部骨折および変形性股関節症に対し手術が施行され,転院または退院時に杖なし歩行が可能となった34名を対象とした.対象を正常歩行群(N群)とデュシャンヌ跛行群(D群)の2群に分け,両群における股関節外転筋力,股関節内転角度,股関節内転角度の違いによるデュシャンヌ跛行出現率,および股関節内転角度と股関節外転筋力の関係を検討した.[結果]股関節外転筋力は,両群において有意差は認められなかった.股関節内転角度は,N群で有意に内転域が大きかった.股関節内転角度の違いによるデュシャンヌ跛行出現率は,内転域の増大とともに跛行出現率が有意に低下した.[考察]股関節内転角度の減少がデュシャンヌ跛行の出現に影響を及ぼすことが明らかとなった.デュシャンヌ跛行の原因を股関節内転制限の観点からみると,体幹を患側に傾けることは,骨盤が外方移動できない状態を体幹の側屈で相殺しているという反応と解釈した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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