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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル49巻10号

2015年10月発行

文献概要

特集 歩行支援機器による歩行up to date

体重免荷式歩行器(POPO)による歩行

著者: 谷口佳奈子1 横山洋介1

所属機関: 1鳥取生協病院リハビリテーション室

ページ範囲:P.905 - P.912

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はじめに

 脳卒中歩行障害に対する理学療法は,神経発達学的アプローチに代表されるような経験を体系化したものが主流であった時期を経て,現在はニューロリハビリテーションの考えにもとづいたものへと変遷してきている1).体重免荷式(Body Weight Support:BWS)歩行支援装置を用いた練習は,その考えにもとづいたアプローチの一手法であり,日本でも多くの施設で実施されるようになった.その特徴として,免荷により体重負荷量を軽減できること,歩行困難な状態であっても早期から歩行練習が行えること,反復して両側性のパターン運動が可能であることから,効率的な運動学習へとつながる可能性があり,注目されている.

 一方で,BWS装置を用いた練習は,部分免荷トレッドミル練習(BWSTT)が一般的であり,歩行器と一体化した機器による練習効果の報告は少ないのが現状である.本稿では,BWS歩行器POPO(POPO REH-100株式会社モリトー)のコンセプトと構造について紹介する.また,POPOによる歩行によってpushing現象を伴った脳卒中片麻痺患者に生じた身体変化についても,客観的データを交えて紹介する.

参考文献

1)斉藤秀之,他:ニューロリハビリテーションと理学療法—脳卒中患者の歩行障害に対するアプローチを中心に.PTジャーナル42:1027-1034,2008
2)日本理学療法士協会:理学療法診療ガイドライン第1版(2011).p409,2011
3)大築立志,他(編):歩行と走行の脳・神経科学—その基礎から臨床まで.p47,市村出版,2013
4)高草木薫:歩行の神経機構Review.Brain Med 19:307-315,2007
5)河島則天:正常歩行の神経制御.理学療法26:19-26,2009
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10)Head H, Holmes G:Sensory disturbances from cerebral lesions. Brain 34:102-254, 1911
11)Bente E.Bassoe Gielsnik(著),金子唯史,他(訳),新保松雄(編):近代ボバース概念—理論と実践.:pp19-20,ガイアブックス,2011
12)Massion J:Postural control system. Curr Opin Neurobiol, 4:877-887, 1994
13)高草木薫:脳の可塑性と理学療法.理学療法学37:575-582,2010
14)沼田憲治:大脳半球機能と理学療法.PTジャーナル32:583-589,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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