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特集 地域包括ケアシステムと小児理学療法
小児の内部障害に対する理学療法と退院支援
著者: 横山美佐子1
所属機関: 1北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
ページ範囲:P.993 - P.1000
文献購入ページに移動内部障害をもつ子供(以下,内部障害児)の場合,四肢体幹の運動機能や能力に問題がないと思われていることが多いため,内部障害が良くなれば身体運動や活動は問題ないと認識されていることが多い.しかしながら,呼吸や循環状態が良くなれば,その後の生活は安泰するとは言いがたい症例を経験する.さらに,呼吸や循環に障害をもつ児においては,長期入院となる症例が多くなる一方で,在宅酸素療法や在宅人工呼吸管理症例が増加している.
また,小児期における先天性心疾患の診断技術ならびに小児心臓血管外科における手術手技のめざましい進歩により,複雑な先天性心疾患を含めた95%以上の先天性心疾患患者が救命され,90%以上が成人期に達するようになった.しかし,先天性心疾患をもつ児に対する理学療法は入院時にとどまり,長期にわたり運動療法を継続実施している報告は見当たらないが,成人期には心不全を呈する症例が多いと報告されている1).
本稿では,内部障害児の運動・活動障害について最近の知見を加えてまとめたうえで,30年前に筆者が担当した呼吸器疾患をもつ症例を提示し,北里大学病院で行っている理学療法と退院支援・調整・つなぎ方などについて反省点を加えて報告する.そして,先天性心疾患術後の運動発達について述べ,今後の課題をまとめる.
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