文献詳細
特集 地域包括ケアシステムと小児理学療法
文献概要
はじめに
内部障害をもつ子供(以下,内部障害児)の場合,四肢体幹の運動機能や能力に問題がないと思われていることが多いため,内部障害が良くなれば身体運動や活動は問題ないと認識されていることが多い.しかしながら,呼吸や循環状態が良くなれば,その後の生活は安泰するとは言いがたい症例を経験する.さらに,呼吸や循環に障害をもつ児においては,長期入院となる症例が多くなる一方で,在宅酸素療法や在宅人工呼吸管理症例が増加している.
また,小児期における先天性心疾患の診断技術ならびに小児心臓血管外科における手術手技のめざましい進歩により,複雑な先天性心疾患を含めた95%以上の先天性心疾患患者が救命され,90%以上が成人期に達するようになった.しかし,先天性心疾患をもつ児に対する理学療法は入院時にとどまり,長期にわたり運動療法を継続実施している報告は見当たらないが,成人期には心不全を呈する症例が多いと報告されている1).
本稿では,内部障害児の運動・活動障害について最近の知見を加えてまとめたうえで,30年前に筆者が担当した呼吸器疾患をもつ症例を提示し,北里大学病院で行っている理学療法と退院支援・調整・つなぎ方などについて反省点を加えて報告する.そして,先天性心疾患術後の運動発達について述べ,今後の課題をまとめる.
内部障害をもつ子供(以下,内部障害児)の場合,四肢体幹の運動機能や能力に問題がないと思われていることが多いため,内部障害が良くなれば身体運動や活動は問題ないと認識されていることが多い.しかしながら,呼吸や循環状態が良くなれば,その後の生活は安泰するとは言いがたい症例を経験する.さらに,呼吸や循環に障害をもつ児においては,長期入院となる症例が多くなる一方で,在宅酸素療法や在宅人工呼吸管理症例が増加している.
また,小児期における先天性心疾患の診断技術ならびに小児心臓血管外科における手術手技のめざましい進歩により,複雑な先天性心疾患を含めた95%以上の先天性心疾患患者が救命され,90%以上が成人期に達するようになった.しかし,先天性心疾患をもつ児に対する理学療法は入院時にとどまり,長期にわたり運動療法を継続実施している報告は見当たらないが,成人期には心不全を呈する症例が多いと報告されている1).
本稿では,内部障害児の運動・活動障害について最近の知見を加えてまとめたうえで,30年前に筆者が担当した呼吸器疾患をもつ症例を提示し,北里大学病院で行っている理学療法と退院支援・調整・つなぎ方などについて反省点を加えて報告する.そして,先天性心疾患術後の運動発達について述べ,今後の課題をまとめる.
参考文献
1)白石 公:成人期を迎えた先天性心疾患患者の諸問題.京府医大誌119:247-258,2010
2)厚生労働省大臣官房統計情報部(編):生活機能分類の活用に向けて.厚生統計協会,2007
3)Stevens RD, et al:A framework for diagnosing and classifying intensive care unit-acquired weakness. Crit Care Med 37:S299-308, 2009
4)加藤美佐子,他:呼吸器障害児の発達促進—症例報告.小児保健研51:163,1992
5)中山菜穂美,他:在宅人工呼吸療法ケースの退院(在宅)を考える—14年間入院していた症例より.小児保健研60:291,2001
6)小池朋孝,他:小児の呼吸理学療法.こどもケア4:49-54,2009
7)横山美佐子,他:急性期の呼吸理学療法.日小児呼吸器会誌21:80-86,2010
8)並木優子,他:大学病院と小児地域療育機関との連携—小児地域療育連絡会を通して.理療:技と研43:69-72,2015
9)廣瀬幸美,他:乳児期に心臓手術を要する児の発達に関する研究—1歳半における発達とその関連要因.小児保健研66:75-82,2007
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