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入門講座 重複疾患症例のみかた・1【新連載】
病歴の読み取り方と整理
著者: 森下元賀1 小林まり子2
所属機関: 1吉備国際大学保健医療福祉学部理学療法学科 2医療法人思誠会渡辺病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.1025 - P.1033
文献購入ページに移動理学療法における評価や治療プログラムの立案は,文献や養成校での教育においても,まずは疾患名を中心とした内容であることが多い.理学療法士は脳血管障害,骨関節障害,呼吸器障害,循環器障害などの疾患名から評価内容をあらかじめ準備し,治療プログラムの立案に結びつけていくことがほとんどである.しかし,高齢の対象者であれば疾患名がついているかどうかにかかわらず多くの身体の不調を抱え,複数の医学的介入が行われていることが多い.理学療法士は介入の内容を考えるうえで,主病名となっている疾患ありきの評価,治療の準備ではなく,カルテ情報から対象者の全身の問題を注意深く観察することが大切である.なぜならそれは,現在の身体状態に至っている原因,理学療法を実施するうえでの注意点,必要な評価内容,機能的予後の予測に欠かせないことだからである.例えば,「今回の入院は脳梗塞であるが,心不全,高血圧の既往があり,循環器に対する理学療法も同時に考える必要がある」など,主病名以外へのアプローチが必要になる場合も少なくない.
本稿では,カルテ情報の解釈と理学療法評価の準備方法を示す.なお,薬物療法や疾患の病態の詳細は専門の成書や学術情報誌を参照いただきたい.
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