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特集 障害者権利条約の実現と理学療法
障害児教育の動向と理学療法士の役割
著者: 押木利英子1
所属機関: 1新潟医療福祉大学医療技術学部理学療法学科
ページ範囲:P.125 - P.133
文献購入ページに移動患児とその家族は相互に強い影響を与え合っており,この影響を考慮に入れずに治療することは難しい.健康と疾患の管理において家族支援は重要である.
「子供に重篤な障害があり,療育が必要と伝えられた」「学校入学にあたって特別な配慮が必要と伝えられた」「生命維持や積極的なリハビリテーションのために手術などの治療選択を迫られた」などの状況において理学療法士が介入する場合も少なくない.こういう場合には大きなストレスや混乱,葛藤が生じやすく,家族関係が危険な状態に陥りやすい.しかし,こうした家族に対する適切な介入が患児・家族の不安を和らげ,治療への積極的な参加が促され,子供の自立,共生へとつながるのである.理学療法士がかかわるポイントは,もやもやした多くの情報や思いのなかから「現状で最適な療育,サポートは何か」を焦点化していく作業を家族とともに行うことである.患児を生物医学的観点だけで捉えるのではなく,その背景に存在する家族,地域や社会制度にも目を向けることが不可欠である.本稿では社会支援の観点から理学療法士の役割について考察する.
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