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入門講座 脳画像のみかた・2
水平断の脳画像からみえるもの
著者: 田村哲也1 吉尾雅春1
所属機関: 1千里リハビリテーション病院
ページ範囲:P.151 - P.158
文献購入ページに移動脳損傷例に対する理学療法において画像所見を分析する目的は,中枢神経系(脳)を評価することにある.したがって, 画像所見より得られる情報をもとにさまざまな解釈を試みる作業は,臨床推論そのものにあたる.本来,理学療法士が画像所見から得るべき情報とは何であろうか.病巣の位置やサイズは画像上容易にみることができるが,それらは病巣を視覚的に捉えただけにすぎない.障害像を理解するための情報や治療への示唆を読み取れてこそ,画像所見を評価として位置付けられる.
画像所見を読影するためには,中枢神経系の機能解剖や画像特性の理解が必要である.加えて,画像所見を臨床症状と関連付けて捉える思考力も重要となる.この思考力は経験的な症例の蓄積に基いて練磨されるものであり,習慣的に画像所見をみる努力が各理学療法士に求められる.
本稿はCT(computed tomography)における水平断画像の基本的なみかたと,それに必要な中枢神経系の機能を概説することを主な目的とする.また多くの症例を例示し,読者が画像所見に触れるきっかけを提供したい.
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