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特集 頭頸部および肩凝りに対する理学療法
頭痛・頸椎症性神経根症に対する理学療法
著者: 上田泰久1
所属機関: 1文京学院大学保健医療技術学部
ページ範囲:P.403 - P.410
文献購入ページに移動はじめに
頸椎の退行変性疾患では,頭痛・頸部痛・上肢痛などさまざまな症状を呈する症例が多い.このような症例を注意深く観察すると,特徴的な姿勢・動作のパターンがあることに気づく.この特徴的な姿勢・動作のパターンは,頸椎の過剰な分節運動を出現(以下,頸椎の病態運動)させて,神経筋骨格系の機能障害によるさまざまな症状を引き起こすと考えられる.臨床において,頸椎の病態運動を改善することにより,神経筋骨格系の機能障害によるさまざまな症状も改善できることを経験している.
本稿では,頸椎の病態運動の改善により神経筋骨格系の機能障害によるさまざまな症状も改善する理由について,頸椎の機能解剖の視点から紐解いていく.まず,頸椎の機能解剖と退行変性疾患である変形性頸椎症の病態を解説する.続いて,筆者が臨床で実践している頭痛および頸椎症性神経根症に対する理学療法について紹介する.
頸椎の退行変性疾患では,頭痛・頸部痛・上肢痛などさまざまな症状を呈する症例が多い.このような症例を注意深く観察すると,特徴的な姿勢・動作のパターンがあることに気づく.この特徴的な姿勢・動作のパターンは,頸椎の過剰な分節運動を出現(以下,頸椎の病態運動)させて,神経筋骨格系の機能障害によるさまざまな症状を引き起こすと考えられる.臨床において,頸椎の病態運動を改善することにより,神経筋骨格系の機能障害によるさまざまな症状も改善できることを経験している.
本稿では,頸椎の病態運動の改善により神経筋骨格系の機能障害によるさまざまな症状も改善する理由について,頸椎の機能解剖の視点から紐解いていく.まず,頸椎の機能解剖と退行変性疾患である変形性頸椎症の病態を解説する.続いて,筆者が臨床で実践している頭痛および頸椎症性神経根症に対する理学療法について紹介する.
参考文献
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