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特集 頭頸部および肩凝りに対する理学療法
顎関節症に対する理学療法
著者: 遠藤優1
所属機関: 1西小岩歯科クリニック
ページ範囲:P.411 - P.417
文献購入ページに移動顎関節症とは顎関節や咀嚼筋の疼痛,関節(雑)音,開口障害あるいは顎運動異常を主要症状とする障害の包括的診断名である.その病態は咀嚼筋痛障害,顎関節痛障害,顎関節円板障害および変形性顎関節症である1).臨床症状として,① 顎関節や咀嚼筋(咬筋,側頭筋,内側・外側翼突筋)・顎二腹筋,胸鎖乳突筋の疼痛,② 関節(雑)音,③ 開口障害ないし顎運動異常の主要徴候のうち,少なくとも1つ以上を有するものである.
顎関節症に対する初期治療では,保存的で可逆的かつエビデンスに基づいた治療を行うことが強く推奨される.顎関節症においてエビデンスが確立されている治療法はほとんどないため,保存的で可逆的な治療法が重要になってくる.保存的療法では,薬物療法と理学療法がその中心となるため,初期治療における理学療法は大変重要である.しかし,顎関節症の治療において理学療法は第一選択と言われながら,理学療法士が卒前・卒後教育において口腔を含めた顎関節周囲の解剖に接する機会は少なく,顎関節やその周囲の疾患を理解するのは難しいのが現状である.そこで本稿では顎関節周囲の解剖について示し,顎関節症の分類,評価,さらに理学療法について解説する.
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