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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル49巻5号

2015年05月発行

文献概要

特集 頭頸部および肩凝りに対する理学療法

顎関節症に対する理学療法

著者: 遠藤優1

所属機関: 1西小岩歯科クリニック

ページ範囲:P.411 - P.417

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はじめに

 顎関節症とは顎関節や咀嚼筋の疼痛,関節(雑)音,開口障害あるいは顎運動異常を主要症状とする障害の包括的診断名である.その病態は咀嚼筋痛障害,顎関節痛障害,顎関節円板障害および変形性顎関節症である1).臨床症状として,① 顎関節や咀嚼筋(咬筋,側頭筋,内側・外側翼突筋)・顎二腹筋,胸鎖乳突筋の疼痛,② 関節(雑)音,③ 開口障害ないし顎運動異常の主要徴候のうち,少なくとも1つ以上を有するものである.

 顎関節症に対する初期治療では,保存的で可逆的かつエビデンスに基づいた治療を行うことが強く推奨される.顎関節症においてエビデンスが確立されている治療法はほとんどないため,保存的で可逆的な治療法が重要になってくる.保存的療法では,薬物療法と理学療法がその中心となるため,初期治療における理学療法は大変重要である.しかし,顎関節症の治療において理学療法は第一選択と言われながら,理学療法士が卒前・卒後教育において口腔を含めた顎関節周囲の解剖に接する機会は少なく,顎関節やその周囲の疾患を理解するのは難しいのが現状である.そこで本稿では顎関節周囲の解剖について示し,顎関節症の分類,評価,さらに理学療法について解説する.

参考文献

1)日本顎関節学会:顎関節症の概念・病態分類.日顎誌25:24-27,2013
2)姫野かつよ:チェアサイドや介護現場で役に立つ口腔筋機能改善コンディショニング技術法の基礎知識.p23,砂書房,2007
3)井出吉信,他(編):チェアサイドで行う顎機能診査のための基本機能解剖.補綴臨床(別冊),医歯薬出版,2004
4)竹井 仁:顎関節疾患の理学療法のための検査・測定のポイントとその実際.理学療法21:192-198,2004
5)依田哲也:新編 チャートでわかる顎関節症の診断と治療.医歯薬出版,2012
6)竹井 仁:有痛性疾患の理学療法プログラム—顎関節症.理学療法23:243-250,2006
7)飯塚忠彦(監):顎関節症 診断・治療マニュアル.pp116-117,永末書店,2004
8)Smith MT, et al:Sleep disorders and their association with laboratory pain sensitivity in temporomandibular joint disorder. Sleep 32:779-790, 2009
9)Gray RJM, et al:Temporomandibukar pain dysfunction:Can electrotherapy help? Physiotherapy 81:45-51, 1995
10)木野孔司:完全図解 顎関節症とかみ合わせの悩みが解決する本.pp17-30,講談社,2011
11)遠藤 優:顎関節症の理学療法のポイント.福井勉(編):ブラッシュアップ理学療法.pp25-28,三輪書店,2012
12)塚原宏泰,他:顎関節クローズドロックの保存療法の治療評価に関する臨床的検討.日顎誌8:453-464,1996
13)千葉雅俊,他:顎関節内障クローズドロックに対する保存療法前後のMRI—円板後部組織の信号強度.日顎誌10:118-127,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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