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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル49巻5号

2015年05月発行

文献概要

特集 頭頸部および肩凝りに対する理学療法

胸郭出口症候群に対する理学療法

著者: 工藤慎太郎12 上岡裕明13 颯田季央4 佐藤貴徳5 三津橋佳奈6

所属機関: 1森ノ宮医療大学保健医療学部理学療法学科 2森ノ宮医療大学卒後教育センター 3公益財団法人昭和会今給黎総合病院リハビリテーション部 4合同会社TRY & TRI 5国際医学技術専門学校理学療法学科 6伊東整形外科リハビリテーション科

ページ範囲:P.419 - P.425

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はじめに

 胸郭出口症候群(thoracic outlet syndrome:TOS)は,頸部から上肢にかけて疼痛やしびれ,だるさといった上肢の症状や手指の血管運動障害などを呈する絞扼性神経障害である.日常の臨床で,TOSと診断された症例に遭遇することは頻度が高いものではないかもしれない.しかし,TOSの症状を解剖学的に紐解くことで,他の診断名がついた症例における頸から肩にかけての鈍痛や手指の知覚異常がTOSと同じような原因で出現している症例がいることに気づく.われわれはこのような症例をTOS様症状として,治療にあたっている.そこで本稿では,TOSおよびTOS様症状の原因を解剖学的に説明し,その評価と運動療法を解説する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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