報告
慢性の非特異的腰痛患者に対するMcKenzie法にストレッチングを加えた運動療法とMcKenzie法単独療法との比較—単盲検準ランダム化比較試験
著者:
山口正貴
,
高見沢圭一
,
原慶宏
,
後藤美和
,
緒方直史
,
芳賀信彦
,
小林里美
ページ範囲:P.573 - P.580
要旨:6か月以上持続している非特異的腰痛患者に対するMcKenzie法に4種のストレッチングを加えた群23名とMcKenzie法単独の群24名との効果比較を,二元配置分散分析で検証した.対象はMcKenzie法の運動指標であるdirectional preference(D/P)を認めた症例とした.週1回,計4回の介入と4週間のセルフエクササイズにより,2群とも介入前後でVisual Analogue Scale(VAS),関節可動域(Range of Motion:ROM),MOS Short-Form 36-Item Health Survey(SF-36),日本整形外科学会腰痛評価質問票(JOA Back Pain Evaluation Questionnaire:JOABPEQ),日本語版Oswestry Disability Index(ODI)の全項目で有意な改善を認め,疼痛,身体機能,精神機能すべてに有効性を認めた.ROM,SF-36の身体の日常役割機能(role physical:RP),ODIの項目では,McKenzie法に4種のストレッチングを加えた群がMcKenzie法単独の群よりも改善傾向を示し,身体機能の改善により効果的であった.セルフエクササイズの量と治療効果との相関分析では,2群とも相関を認めなかった.腰痛治療の有効性はエクササイズの量や頻度ではなく種類に依存していた.脱落者は0名で,すべての評価項目で改善を認めたことから,D/Pを認めた症例は心理社会的要因を除外できる可能性が示唆された.