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特集 急性期からの理学療法
急性期理学療法の変遷とこれから
著者: 内昌之1
所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.497 - P.504
文献購入ページに移動1.序論
何台もの救急車が救命救急室(emergency room:ER)のエントランスに赤灯を回したまま停まり,集中治療室(intensive care unit:ICU)では幾本ものカテーテルが四肢につながりさまざまなモニターで循環動態を監視された患者の周りを,昼も夜もなく医療スタッフが慌ただしく行き来している.このような二次・三次救急病院において,多くの理学療法士が急性期の理学療法に携わっている姿は,今日では日常的な光景となった(図1,2).1980年代以降,急性期からのリハビリテーションの重要性が論じられるようになり1,2),現在では急性期理学療法は医学的治療をより効率的に達成するとともに,機能喪失を可能な限り軽減するための手段としてその有用性が広く認識されているが,かつて理学療法士はこのような場面からは随分とかけ離れた存在であった.理学療法は医学的治療がひと段落した後に,家庭や生活の場に帰るため,あるいは治療によっても後遺障害を免れなかった患者に対する後療法という認識が強かった.あらためて振り返ってみると隔世の感を禁じ得ない.
本稿では,筆者が理学療法士として従事してきた1980年代から今日にかけてのおおよそ30年間における急性期理学療法の変遷について,医療の進歩と国際情勢の推移を踏まえて述べさせていただく.
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