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特集 急性期からの理学療法 医師にとっての急性期—専門科別急性期の概念と医師が重要視すること
3.急性心不全
著者: 佐藤直樹1
所属機関: 1日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科・集中治療室
ページ範囲:P.513 - P.515
文献購入ページに移動急性心不全は,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が急速に破綻し,心室拡張末期圧の上昇や主要臓器への灌流不全を来し,それに基づく症状や徴候が急性に出現,あるいは悪化した病態と定義されている1).すなわち,病態は極めて不安定であり,早期再灌流療法が行われた急性心筋梗塞の一定した流れとは異なることに注意する.急性心不全における急性期理学療法は,まだ十分なエビデンスがないため,その安定化する過程を妨げないように,常に患者の訴えと医師,看護師からの病態・治療や精神面等に関する情報を共有して行うことが極めて重要なポイントとなる.病態把握に基づく治療が,急性から慢性へと一連の流れとして捉えて行われているように,理学療法もこの一連の流れのなかで,すでにその有用性が確立されている慢性期の心臓リハビリテーションにいかに移行していくかに注意を払って行う.そして,図に示すように,そのどの部分に問題があっても予後不良にかかわってくることを理解しておくことが重要である.
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