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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル49巻6号

2015年06月発行

文献概要

特集 急性期からの理学療法

急性期病棟におけるリハビリテーション専門職の専従配置による効果と役割

著者: 平野明日香1 加藤正樹1

所属機関: 1藤田保健衛生大学病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.521 - P.527

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はじめに

 近年わが国は超高齢化社会に突入し,急性期病院では高齢障害者が増加し,基礎体力低下,多疾患等により障害は複雑化している.よって,急性期リハビリテーションの重要性はさらに高まると考えられ,廃用症候群の予防,ADLの維持向上を目的として入院早期から開始することが求められるが,急性期リハビリテーションではリハビリテーション科が主科ではなく副科となる場合が多く,主科からの依頼に頼るため,長期臥床による廃用症候群の併発後に開始されることがあった.また,そのため,主科とのさらなる連携が急務と考えられる.

 日本リハビリテーション医学会の急性期リハビリテーション実態調査ワーキンググループ1)の報告によると,平均リハビリテーションスタッフ数(100床あたり)は急性期病院で理学療法士2.8人,作業療法士1.3人,言語聴覚士0.8人,回復期病院で理学療法士19.9人,作業療法士13.9人,言語聴覚士5.5人,各療法士1人あたり月次リハビリテーション診療患者数は急性期病院で80.9人,回復期病院で18.0人と報告されている.この調査はリハビリテーション科専門医の在籍する日本リハビリテーション医学会「研修施設」の急性期病棟における場合であり,リハビリテーション科医師のいない急性期病院ではさらにリハビリテーション専門職は少なく,十分な急性期リハビリテーションが行われていないことが考えられる.一方,リハビリテーション専門職を病棟に配置することで入院からリハビリテーション依頼までの日数や在院日数が短縮し,リハビリテーション効率,自宅復帰率の向上がみられたとの報告2)や,病棟への専属配置により病棟医師や看護師からコミュニケーションの改善,リハビリテーション内容の理解向上,患者のADLが早期に改善したなどのアンケート結果の報告3)があり,リハビリテーション専門職を病棟に配置することでリハビリテーションの効果を高めることができると考えられる.

参考文献

1)小山照幸,他:日本リハビリテーション医学会研修施設における療法士数の実態調査.Jpn J Rehabil Med 51:405-407,2014
2)影近謙治:大学病院における取り組み 病棟ユニット制,365日リハビリテーション.総合リハ42:211-218,2014
3)平田和彦,他:病棟専属理学療法士配置による効果の検討.国大法人リハコ・メディ会誌31:20-22,2010
4)厚生労働省:平成26年度診療報酬改定の概要.2014年3月19日 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039378.pdf(2015年3月30日閲覧)
5)厚生労働省保険局医療課:疑義解釈資料の送付について(その3).2014年4月10日 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000043429.pdf(2015年3月30日閲覧)
6)日本理学療法士協会:急性期病棟への理学療法士の配置について(ADL維持向上等体制加算について).2014年3月20日 http://www.japanpt.or.jp/00_jptahp/wp-content/uploads/2014/03/kyuseiki_pt_haichi3.pdf(2015年3月30日閲覧)
7)秋月玲子:診療報酬改定にみる今後のリハビリテーション.総合リハ42:959-964,2014
8)月刊保険診療編集部:Part3新点数Q&A総まとめ(下).月刊保険診療65:40-63,2010
9)半田一登:特集「平成26年診療報酬改定」.日本理学療法士協会広報誌「笑顔をあきらめない.」16:2-7,2014
10)藤谷順子:急性期リハビリテーションの重要性.総合リハ42:923-927,2014
11)才藤栄一:高齢社会とリハビリテーション医療.THE BONE 26:21-27,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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