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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル49巻6号

2015年06月発行

文献概要

講座 ボツリヌス療法・2

ボツリヌス治療—脳性麻痺

著者: 藤田良1

所属機関: 1医療法人協和会千里中央病院整形外科

ページ範囲:P.557 - P.563

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ボツリヌス治療とは

 脳性麻痺患者では,脳の障害により筋肉の緊張が高まった状態になります.これを「痙縮」といいます.この状態をそのままにしておくと,関節の可動域制限や変形が起こり,最初は可逆性だったものが,進行すると固定した変形になってしまいます.このようなことが起こらないようにするために開発された治療法がボツリヌス療法です(図1).

 ボツリヌス治療で使われるボツリヌス毒素を作り出すボツリヌス菌は,土のなかの常在菌で,食中毒の原因菌として知られています.この菌が作り出す毒素が,局所性に筋緊張を来す疾患の治療薬として使われているのです.1989年に米国ではじめて医薬品として承認され,日本では,2001年痙性斜頸への適応が承認され,脳性麻痺患者への投与が始まりました.2009年2月に2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足への適応が承認され,2010年10月には上肢痙縮,下肢痙縮への適応が承認され,ボツリヌス治療の対象となる患者数が増加し,今では脳性麻痺の痙縮の治療の第一選択薬となっています.

参考文献

1)梶 龍兒:小児脳性麻痺のボツリヌス治療.診断と治療社,2008
2)Boyd RN and Graham HK:Objective measurement of clinical findings in the use of botulinum toxin type A for the management of children with cerebral palsy. Eur J Neurol 6:23-35, 1999
3)Law M,他(著),吉川ひろみ(訳):COPM—カナダ作業遂行測定,第4版.大学教育出版,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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