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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル49巻7号

2015年07月発行

文献概要

1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?

感覚運動連関

著者: 寺田茂1

所属機関: 1金沢赤十字病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.645 - P.645

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 「感覚運動連関」とは,「連関」という言葉の意味を手掛かりとすると,感覚機能と運動機能とは互いにかかわりつながりをもっていること,および感覚と運動は多くの経験やその記憶によってさまざまに影響し合い,修飾されて巧緻な操作や動作の習熟,運動学習に寄与することと解釈される.

 ヒトは生活活動を遂行する場合に,その時々の環境に応じて最適な行為を選択し,それを行動に移すためにさまざまな関節の動きを巧みに組み合わせ,合目的運動を実現させる.例えば,川の対岸に飛び石を使って渡る際に,ヒトは石の間隔や高さがそれぞれ異なっていても落下することなく移動することができる.この場合,飛び石の位置や高さを目で確認し,足底部から感覚情報を頼りに石の形状を考慮しながら,自らの脚の空間位置を認識し動きを調整している.一方,深部感覚障害を有する患者が,筋力の低下が存在しないにもかかわらず視覚の補助がなければ四肢の使用が困難になることはよく経験される.運動の実行中枢は第一次運動野であるが,運動を意図したとおりに正確に行うためには認知,知覚,感覚などの情報を脳が処理することが不可欠であり,感覚情報は運動遂行に非常に重要となる.

参考文献

1)奈良 勲(監修):理学療法学辞典.医学書院,2006
2)Kinesthesia GS:Roles for afferent signals and motor commands. In Rothwell LB & Shepherd JT(eds):Handbook of physiology. pp128-172, Oxford University Press, New York, 1996
3)内藤栄一,他:感覚刺激と運動学習.PTジャーナル46:25-35,2012
4)内藤栄一:運動習熟のメカニズム.臨床スポーツ医学21:1057-1065,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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