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特集2 これまでの10年とこれからの10年—理学療法の発展と課題と夢
脊髄損傷の理学療法
著者: 武田正則1
所属機関: 1独立行政法人労働者健康福祉機構岡山労災病院中央リハビリテーション部
ページ範囲:P.23 - P.25
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脊髄損傷の理学療法において,これまでの10年における最大の話題は,脊髄再生や歩行再建に基づくさまざまな考え方やアプローチの変遷であると言える.従来,脊髄損傷は中枢神経障害であり,麻痺が治癒しないという概念のもと,代償的な動作の獲得に焦点が当てられていた.脊髄損傷者自身は身体的な障害を受容することが求められ,そのうえでいかに社会に復帰していくかが問われていた.
近年,脊髄再生の話題がマスコミにも大きく取り上げられ,それと連動した装具やトレッドミルを用いた歩行再建が諸外国で多く行われるようになると,わが国でもその動きは加速していった.脊髄損傷者の反応も早くからあり,臨床においても問い合わせや従来型の治療についての異論なども年々増加していったという印象を筆者は持っている.また,脊髄損傷の発症年齢も高齢化や地域差が進んでおり,医療制度改革での入院期間短縮や医療機能の分化など以前とは違ったアプローチも必要となっている1,2).これらの話題を中心に,われわれ理学療法士に関連した事項について述べていく.
脊髄損傷の理学療法において,これまでの10年における最大の話題は,脊髄再生や歩行再建に基づくさまざまな考え方やアプローチの変遷であると言える.従来,脊髄損傷は中枢神経障害であり,麻痺が治癒しないという概念のもと,代償的な動作の獲得に焦点が当てられていた.脊髄損傷者自身は身体的な障害を受容することが求められ,そのうえでいかに社会に復帰していくかが問われていた.
近年,脊髄再生の話題がマスコミにも大きく取り上げられ,それと連動した装具やトレッドミルを用いた歩行再建が諸外国で多く行われるようになると,わが国でもその動きは加速していった.脊髄損傷者の反応も早くからあり,臨床においても問い合わせや従来型の治療についての異論なども年々増加していったという印象を筆者は持っている.また,脊髄損傷の発症年齢も高齢化や地域差が進んでおり,医療制度改革での入院期間短縮や医療機能の分化など以前とは違ったアプローチも必要となっている1,2).これらの話題を中心に,われわれ理学療法士に関連した事項について述べていく.
参考文献
1)時岡孝光,他:治療対象者の現状.独立行政法人労働者健康福祉機構全国脊髄損傷データーベース研究会(編):脊髄損傷の治療から社会復帰まで—全国脊髄損傷データーベースの分析から.pp9-22.保健文化社,2010
2)加藤真介,他:疫学.総合リハ43:289-293,2015
3)緒方 徹,他:脊髄再生.岩﨑 洋(編):脊髄損傷理学療法マニュアル,第2版.pp346-352,文光堂,2014
4)田代祥一,他:慢性期脊髄損傷への再生医療応用を目指して—併用療法に関する最近の知見を中心に.総合リハ43:295-306,2015
5)武田正則,他:不全型脊髄損傷の特徴と理学療法.PTジャーナル43:195-202,2009
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