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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル50巻1号

2016年01月発行

文献概要

特集2 これまでの10年とこれからの10年—理学療法の発展と課題と夢

メタボリックシンドロームと理学療法

著者: 久野陽治1

所属機関: 1大阪市立大学医学部附属病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.52 - P.54

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メタボリックシンドロームとは

 メタボリックシンドローム(metabolic syndrome:MS)とは,内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり,動脈硬化性疾患を招きやすい病態である.2005年4月に日本内科学会をはじめとする関係8学会により日本人向けの診断基準がまとめられ,内臓脂肪の蓄積(ウエスト周囲径)に加え,高血圧,耐糖能異常,脂質代謝異常といった動脈硬化危険因子が2つ以上該当するとMSと診断される.

 伊藤1)はMSの基盤である肥満やインスリン抵抗性の上流に生活習慣の乱れがあるとし,食生活の偏りや運動不足という駒が1つ倒れることにより,ドミノ倒しのごとく内臓肥満,脂質代謝異常などが連鎖して発症し,高血圧,耐糖能異常などが引き起こされる「メタボリックドミノ」という概念を提唱している.これは,MSを説明するうえで広く用いられる考え方となっており,厚生労働省の生活習慣病の進行のイメージにおいてもわかりやすく表現されている(図)2)

参考文献

1)伊藤 裕:メタボリックドミノとは—生活習慣病の新しいとらえ方.日本臨牀61:1837-1843,2003
2)野田 広:厚生労働省における生活習慣病対策について.厚生労働省生活習慣病対策室資料,2007.https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/iryoujyouhou/dai11/siryou8.pdf(2015年8月15日閲覧)
3)厚生労働省:平成19年国民健康・栄養調査報告 結果の概要,2007.http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou09/dl/01-kekka.pdf(2015年8月8日閲覧)
1)石黒友康:理学療法の発展と課題—メタボリックシンドロームと理学療法.PTジャーナル40:1154-1155,2006
2)上村さと美,他:高齢者高度専門医療機関内における慢性期有疾患患者向け健康増進センターの活動紹介.心臓リハ19:231-235,2014
3)木村 穣:循環器領域—関西メディカルフィットネスネットワーク.治療90:1020-1026,2008
4)経済産業省委託事業:平成24年度医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出調査研究事業(医療・介護周辺サービス産業創出調査事業)調査報研究告書.日本総合研究所,2013 http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2013fy/E002641.pdf(2015年8月16日閲覧)
5)解良武士,他:メディカルフィットネスにおける理学療法士雇用の可能性を探索するための基礎的調査.理学療法学39:116-117,2012
6)厚生労働省:「健康日本21」中間報告書.厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会,2007.http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0410-5f_0001.pdf(2015年7月19日閲覧)
7)厚生労働省:健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料.厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会,2012.http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf(2015年8月22日閲覧)
8)日本循環器学会,他:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版),2015.http://www.jacr.jp/web/pdf/RH_JCS2012_nohara_h_2015.01.14.pdf(2015年8月29日閲覧)
9)田中一成,他:メタボリックシンドロームに対するリハビリテーション医療介入.日職災医会誌58:164-169,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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