児童デイサービスにおける小児理学療法と生活支援
著者:
高橋昭彦
,
紙野愛嗣
,
田中美紀子
,
香川真二
,
山本八穂
,
内山将哉
ページ範囲:P.935 - P.944
はじめに
児童デイサービス(通所支援)とは,障害を抱えた児童が可能な限り地域や自宅で自立した日常生活を送ることができるように,児童およびその家族を支援する公的な社会福祉事業である.主たる支援の概要は児童に対する療育サービスの提供であり,発達や学習を促すことで心身機能の維持・改善を図り,基本的な動作能力,知識技能,集団生活への適応能力を獲得させることである.また,地域における児童や家族の孤立感の解消,家族の介護の負担軽減など,児童の生活拠点である地域や家族に対する支援という役割も担っている.これまでデイサービスは医学的リハビリテーションが終了したあとの機能低下の防止や社会参加の拡大を目的とする社会的リハビリテーションの色合いが強かったが,現在のデイサービスには,対象が障害者や高齢者の場合には機能回復,児童に対しては発達や学習への支援が求められるようになり,その役割が大きく様変わりしようとしている.
児童デイサービスは2012年に法改正が行われ,これまで知的・難聴・肢体不自由など障害種別に行われてきたサービスを一元化し,それら3障害に対する総合的かつ身近なサービスの提供が求められるようになった.NPO法人子どもの発達・学習を支援するリハビリテーション研究所(以下,当法人)では,全国に先駆け機能訓練担当職員としてセラピストを常勤で配置することで,さまざまな障害を抱える子供たちに個別療育と集団療育をサービスの両輪とする児童デイサービス事業を展開している.本稿では当事業所で提供しているサービス,利用している児童の変化についても具体的に紹介する.