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文献概要
講座 高次脳機能障害・2
半側空間無視
著者: 渡辺学1
所属機関: 1北里大学メディカルセンターリハビリテーションセンター
ページ範囲:P.1041 - P.1047
文献購入ページに移動半側空間無視は脳卒中患者にしばしばみられる高次脳機能障害の1つであり,運動機能の回復や日常生活の自立獲得を大きく損なわせる.したがって,理学療法を進めるうえで半側空間無視の改善は重要な目標となるが,残念ながら現在のところ確立された治療法が存在しない.また,半側空間無視は急性期の右大脳半球損傷に高い頻度で合併するものの,回復過程で自然治癒するものも多く,理学療法の治療対象から外されるケースも多い.慢性期に至っても症状が残存する場合には,直接的な改善をめざす治療よりも環境調整や人的資源による代償的なアプローチが選択されることがほとんどである.しかし,半側空間無視が運動機能の回復に悪影響を与えることを考えれば,できるだけ発症早期で運動麻痺の回復が期待できる時期から直接介入を行い,改善することが望ましい.
本稿では,現在提唱されている半側空間無視の発現メカニズム,比較的有効な治療法とされているプリズム順応の効果メカニズム,半側空間無視のサブタイプを紹介し,理学療法による効果的な直接介入の手段を検討する.
*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2018年10月15日)。
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