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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル50巻12号

2016年12月発行

雑誌目次

特集 地域包括ケア病棟

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.1075 - P.1075

 急性期と在宅の橋渡し役として2014年に新設された地域包括ケア病棟は,亜急性期病棟からの転換を中心に全国の病院で導入されている.地域包括ケア病棟は急性期病院等からの患者の受け入れ(post-acute),在宅療養あるいは介護施設等に入所する高齢者の急性疾患患者の受け入れ(sub-acute),在宅復帰支援の3つの重要な機能をもつ.そして,何よりも入院リハビリテーションが初めて包括報酬となった病棟体系でもある.新設から2年が経過したため,病棟が地域のなかでどのような役割を果たし,理学療法がどのように提供されているかを知る特集を企画した.

地域包括ケア病棟を検証する

著者: 藤森研司

ページ範囲:P.1077 - P.1083

はじめに

 2014年度の診療報酬改定において創設された地域包括ケア病棟入院料および入院医療管理料であるが,その意図どおりに機能しているのだろうか.本稿では筆者が委員を務める入院医療等の調査・評価分科会における議論を中心に検討する.

地域包括ケアシステムと地域包括ケア病棟

著者: 宇都宮啓

ページ範囲:P.1085 - P.1091

はじめに

 2008(平成20)年度厚生労働省老人保健健康増進等事業の一つとして,地域包括ケア研究会[座長:田中滋・慶應義塾大学大学院教授(当時)]が立ち上げられ,2010(平成22)年3月に報告書が取りまとめられた.その後,2012(平成24)年度,2013(平成25)年度,2015(平成27)年度にも同研究会は開催され,議論を深めてきているところであるが,この時期に並行して進められた社会保障改革の流れのなかで,「地域包括ケアシステム」という言葉は法律で定義されるに至った.

 この間筆者は,2012(平成24)年度診療報酬,介護報酬同時改定時には老人保健課長として介護報酬改定を担当し,2014(平成26)年には医療課長として診療報酬改定を担当した.そして後者の改定にあたり,地域包括ケア病棟入院料,地域包括ケア入院医療管理料(以後,地域包括ケア病棟入院料にのみ言及するが,趣旨は地域包括ケア入院医療管理料も同じ)を創設した.

 本稿においては,地域包括ケアシステムの構築をめざし,どのようなことを考えてこれらの改定を行ったのか,地域包括ケア病棟設立の趣旨なども含めて述べるとともに,今後のリハビリテーションの方向性についての私見も述べる.

都市部における地域包括ケア病棟

著者: 小磯寛 ,   菊池謙一 ,   宮﨑亜希子 ,   泉圭之介 ,   尾身諭 ,   髙橋忠志 ,   栗田慎也 ,   尾花正義

ページ範囲:P.1093 - P.1101

はじめに

 2014年度の診療報酬改定で新設された地域包括ケア病棟入院料は,2015年9月までに1,291病院が届け出ており,47都道府県すべてに地域包括ケア病棟が存在する1).厚生労働省は地域包括ケア病棟のイメージとして,① 急性期からの受け入れ,② 在宅・生活復帰支援,③ 緊急時の受け入れを掲げており2),各地で地域の実情に応じた運営がなされている.

 本稿は「都市部における地域包括ケア病棟」がテーマだが,同じ東京都でも区部と市町村部では大きく事情が異なり,また23区内でも北部と南部で違いがあり,さらには荏原病院(以下,当院)の位置する大田区内でも羽田空港のある羽田・糀谷エリアと品川・目黒・世田谷に近い田園調布エリアでは大きく環境が異なる.そのような状況から,当院が都市部の地域包括ケア病棟を代表するわけではなく,あくまで都市部に位置する一施設の例であることを前提として,周辺地域の特徴と合わせ当院の取り組みを紹介する.なお,地域包括ケア病棟の施設基準や全国的な動向など概要については,他稿を参照されたい.

地方地域中核病院における地域包括ケア病棟へのリハビリテーション科としてのかかわり

著者: 三浦豊彦

ページ範囲:P.1103 - P.1108

はじめに

 2014年4月の診療報酬改定において,リハビリテーションの診療報酬が包括化された病棟である「地域包括ケア病棟」が新設された.それに伴い,筆者の勤務する平鹿総合病院(以下,当院)でも2つの病棟が一般病棟から地域包括ケア病棟へ転換している.

 本稿では当院における地域包括ケア病棟へのリハビリテーション科(以下,当科)のかかわりを述べる.表題の「地方地域中核病院」とひと言で言っても,その置かれている環境は千差万別であるし,その環境に対する判断や対処の仕方は病院によって異なってくることは想像に難くない.当然ながら,以下に述べることはあくまでも当院の地域包括ケア病棟における内容であることをあらかじめお断りしておきたい.

循環器疾患専門病院における地域包括ケア病棟

著者: 湯口聡 ,   山内朋子 ,   二寶友美 ,   吉村香映 ,   齊藤和也 ,   富磨智子 ,   吉田俊伸

ページ範囲:P.1109 - P.1117

循環器疾患を取り巻く状況

 2014年度の日本人における死因の第1位は悪性新生物,2位は心臓病,3位は肺炎,4位は脳卒中である.悪性新生物は一貫して上昇しており,肺炎は2015年度に脳卒中を抜いて3位となっている.心臓病は1985年に第2位となったまま,1994,1995年に減少傾向となったものの,1997年から再び上昇の一途をたどっている1).臓器別に考えると,悪性新生物は多臓器をすべて含んでの集計であるが,心臓病は臓器単独での集計であるため,単独の臓器障害では他に比べると圧倒的に多いものと推測される.

 一方,外科治療や心臓カテーテル治療,薬物療法などその進歩は著しく,循環器疾患に対する治療成績は年々向上しているように思われる.しかし,こうした進歩があるなかで,心臓病の死亡率が減少傾向にならない背景にはさまざまな要因が考えられる.1つには,心臓カテーテルや薬物療法による急性期治療により救命できたものの,退院した後にその再発や増悪を生じる,いわゆる慢性心不全の急性増悪を生じる症例が増加していると推測される.心臓病センター榊原病院(以下,当院)におけるリハビリテーション処方件数においても慢性心不全の処方件数は年々増加傾向である.

とびら

今,生きていること

著者: 渡邊潤子

ページ範囲:P.1073 - P.1073

 2016年は日本での8年ぶりの先進国首脳会議(サミット)が伊勢志摩で開催され,オバマ米国大統領の広島訪問と献花という大きな出来事がありました.終戦から71年,日本は焼け野原で物のない時代から現在の姿に復興しました.これは昭和の時代を駈け抜けた今の高齢者の方々の尽力のたまものです.本誌は発刊から50年を経て,「リハビリテーション」という言葉は市民権を得て定着してきたように思われます.そして,少子高齢化に伴い,2017年度から市町村主体での新総合事業が本格始動されます.日本を支えてきた高齢者の方々がサービス提供によりさらによい時を過ごせることが望まれます.

 私が母校で学んだ1980年代は理学療法士もまだまだ少なく,全米リハビリテーション評議会が掲げた「リハビリテーションとは,障害を受けた者を彼のなしうる最大の身体的,精神的,社会的,職業的,経済的な有用性を有するまでに回復させることである」(1942年)という定義が新鮮に感じられる時代でした.恩師の故小島泉先生はわが国初の養成校である国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院に入学されたとき,理学療法とはロボットを作る仕事だと思っていたとお話しくださいました.

学会印象記

—第50回日本作業療法学会—日本における作業療法の過去・現在と未来について

著者: 横井裕一郎

ページ範囲:P.1120 - P.1122

 第50回目の記念すべき日本作業療法学会は2016年9月9日(金)〜11日(日)に北海道札幌市のロイトン札幌,ホテルさっぽろ芸文館,札幌市教育文化会館の3会場にて開催された(図).学会長は清水兼悦氏(札幌山の上病院豊倉康夫記念神経センター),学会テーマは「半世紀の実績と将来への展望〜日本の作業療法を拓く〜」と題して行われた.日本作業療法士協会は今年で50周年を迎え,過去50年間の作業療法を振り返り,作業療法の現状と将来について考えさせられる学会であった.

 本学会は例年,6月に開催されていたが,今年から9月に変更したとのことである.札幌は9月にしては寒く,気温は約20°で,本州の人には肌寒く感じたことであろう.

1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?

長寿者の健康

著者: 新井康通

ページ範囲:P.1123 - P.1123

 世界保健機関(World Health Organization:WHO)の定義によれば,健康とは「病気でないとか,弱っていないということだけではなく,肉体的にも,精神的にも,そして社会的にも,すべてが満たされた状態」を指す.高齢者医療に携わる者としては,この定義は理想的ではあるが,現実とかけ離れている印象を感じざるを得ない.一方,健康寿命は「ADLが自立している期間」や「日常生活の制限のない期間」と定義されており,高齢者の健康を考える場合,ADLが中心的な領域であることがわかる.

 100歳以上の高齢者(百寿者)や,105歳以上の超百寿者は,ADLが自立している期間が長く,健康長寿のモデルと考えられる.筆者らの研究グループ1)では1992年より,東京都健康長寿医療センターとの共同研究で東京都在住の百寿者304名を対象とした疫学調査を行った.その結果,97%の百寿者が何らかの慢性疾患を有していた.最も頻度が高い疾患としては高血圧(63.6%)で,女性においては骨折の既往も高頻度(52.3%)であった.一方,百寿者で頻度が低い疾患の代表が糖尿病であり,一般の高齢者の3分の1程度の罹患率(6.0%)であった.つまり,長寿者と言えども慢性疾患と無縁とはいかないのである.

理学療法関連審議会・協議会

日本糖尿病対策推進会議

著者: 野村卓生

ページ範囲:P.1125 - P.1125

 厚生労働省の2012年国民健康・栄養調査によると,わが国の糖尿病患者は約950万人,糖尿病予備群を含めると,約2050万人と推定されている.糖尿病は幅広い年齢層で発症し,特有の合併症を併発するが,自覚症状が乏しいことから放置,あるいは治療を中断する患者が多い.このような現状を鑑み,糖尿病対策について積極的に取り組む必要があるとの共通認識により,日本医師会,日本糖尿病学会,日本糖尿病協会の三者で,2005年2月に「日本糖尿病対策推進会議」が設立された1).その後,活動趣旨に賛同した複数の団体が加入し組織の改編が行われ,2015年12月には日本理学療法士協会も加入し,2016年9月現在,幹事団体が4団体,構成団体は14団体となっている(表).

 日本糖尿病対策推進会議は,糖尿病の発症予防,合併症防止などの糖尿病対策をより一層推進し,国民の健康の増進と福祉の向上を図ることを目的に設立された.以下,代表的な最近の活動を紹介する.

入門講座 症例を担当するということ・10

症例からの学びをまとめる

著者: 藤原愛作

ページ範囲:P.1127 - P.1132

はじめに

 私たちは1年間に多くの症例を担当します.その症例の臨床像は一人ひとり異なり,その違いに対して提供する理学療法を工夫しながら毎日の臨床に向き合っています.その工夫のために,論文や書籍を読んだり研修会に参加したりして自己研鑽を行っていることでしょう.しかしながら,論文や書籍,研修会などで得た情報はそのまま臨床で活用できることのほうが少なく,担当症例の身体機能や高次脳機能などによって工夫しながら実施していく必要があります.このように,日々の臨床場面においてさまざまな工夫を行いながら,そのときに最良と思われる理学療法を選択しています.その積み重ねが自身の理学療法の引き出しを増やすことになりますが,症例を通じて得られた経験をどのようにまとめていくべきか,悩むことが多いと思います.

 そこで,入門講座の最終回として本稿では,「症例からの学びをまとめる」というテーマにて,自分が経験した症例をどのように振り返り学びを深め,自己成長のきっかけとしていくかを考えていきます.

講座 高次脳機能障害・3

観念失行と観念運動失行

著者: 能登真一

ページ範囲:P.1133 - P.1138

はじめに

 失行はLiepmann1)によってその病態が報告されて以来,100年余りの時を経過しているが,そのメカニズムや治療方法がいまだ十分に解明されない謎めいた高次脳機能障害である.教科書的な定義に従えば,失行とは運動麻痺や感覚障害などがないにもかかわらず,習熟した動作ができない状態である2).失行という用語は,発語失行,口腔顔面失行,構成失行,着衣失行など,ほかの症状名にも用いられているが,本稿では四肢の失行に限って解説することにしたい.


*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2018年11月15日)。

臨床実習サブノート 臨床実習のリスク 地雷を踏むな!・7

関節リウマチ

著者: 祖川稔史 ,   島原範芳

ページ範囲:P.1141 - P.1150

はじめに

 臨床実習において,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)患者とのコミュニケーションに難渋する学生は少なくない.特に,疼痛に敏感なRA患者では信頼関係を築けなければ,評価,その後の治療において学生が消極的となり,学生自身のもっている能力を十分に発揮できなくなる.信頼関係の構築には,局所的所見のみでなく全体像を把握し,自分の意見をきちんと伝えることが大切である.

 本稿では,まずRAの医学的な要点について説明し,臨床実習における地雷を踏まないためのRA患者とのかかわり方,評価および治療でのリスク,留意点について,われわれの臨床現場での私見も踏まえて述べる.

症例報告

反復性膝蓋骨脱臼に対して内側膝蓋大腿靱帯再建術後,長期の膝関節痛を呈した1例

著者: 大城竜樹 ,   八木正義 ,   原田和樹

ページ範囲:P.1151 - P.1155

要旨 反復性膝蓋骨脱臼に対して内側膝蓋大腿靱帯(medial patellofemoral ligament:MPFL)再建術後,長期の膝関節痛を呈した症例を経験した.症例は20歳台女性,美容師.既往歴として14歳のとき,スキップ中に膝蓋骨脱臼し骨軟骨骨折に対して鏡視下摘出術を受けたが,その後二度脱臼を繰り返していた.今回,仕事中に台に上がろうとして,膝蓋骨脱臼を受傷した.外側支帯解離術およびMPFL再建術を行ったが,膝関節拘縮のため鏡視下授動術を受けた.その後,歩行時の膝関節痛が残存しており,初回手術から1年3か月後にやぎ整形外科クリニック(以下,当院)を受診した.

 当院初診時,左膝蓋骨周囲に広範囲に疼痛を認め,Numerical Rating Scale(NRS) 7/10と強い疼痛を認めた.理学療法の経過とともに疼痛範囲の狭小化が得られたが,特に膝蓋腱深層部の疼痛が遷延化した.理学療法では外側支持組織のタイトネス改善,内側広筋斜走線維の選択的な筋力強化により,介入1年6か月後にNRS 1/10まで疼痛軽減が得られている.

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.1117 - P.1117

書評 —山﨑明夫(著)—「にほんごがこんなふうにみえたのよ!—39歳で脳出血! オレの片マヒ&失語な日常」

著者: 半田一登

ページ範囲:P.1119 - P.1119

 今から1か月ほど前,書評を書いてほしいとの要請を受けました.当時は非常に多忙な日程となっていたために,いわばしぶしぶ承諾することにしました.それも障がいをお持ちの方が努力して書いたものであろうからというものでした.

 ようやく時間が取れて,読み始めた途端に私の理学療法士としての嗅覚が目を覚まし,一気に読み終えることになったのです.一般的に言う「おもしろい」というよりも,理学療法士生活38年の経験を振り返り,反省したり,同意したり,笑ったり,目に涙を浮かべたりしてしまいました.私たち専門職は疾病による症状は十分に理解しているつもりですが,その症状に対する患者さん本人の感覚や感じ方は理解不能な領域です.医療とは科学を下地としながら,患者個々に応じた治療なのです.本書では,ひとつひとつの症状に対して,端的に感じたことや思ったことを見事に表現しています.そのなかで,私が「エッ」と思った点をいくつかを原文のまま紹介します.

書評 —前田哲男,木山良二,大渡昭彦●著—「解いてなっとく 使えるバイオメカニクス」

著者: 鶴見隆正

ページ範囲:P.1139 - P.1139

 理学療法の臨床現場では,骨・関節系疾患や脳卒中などによって歩行や階段昇降などの基本動作が困難となった方に対する運動療法とADL指導は大きなウエイトを占めている.ヒトが椅子からスムーズに立ち上がったり,不整地な道でも安定して歩いたり,階段昇降ができるのは,抗重力下における動的姿勢制御と生力学的制御が相互に関与し合っているからである.それだけに基本動作に関するバイオメカニクスの知識は重要となる.

 このため理学療法士・作業療法士をめざす学生にとって,臨床運動学や運動学実習でのバイオメカニクスの学習は必須となるが,これがなかなか難解な教科となっている.それは一つの基本動作を遂行するには,関節運動がどのように生じ,どの筋群がどのタイミングで活動し,連鎖的な筋収縮がどのように生じているのか,またベクトルはどの方向に作用しているのか,などバイオメカニクスの分析力と演算的な理解力が求められるからであろう.

文献抄録

ページ範囲:P.1156 - P.1157

第28回理学療法ジャーナル賞について

ページ範囲:P.1159 - P.1159

編集後記

著者: 金谷さとみ

ページ範囲:P.1160 - P.1160

 「地域包括ケアシステム」は形の見えない気体のようでわかりにくい.明らかなことは,「現状の制度の範囲内で各市町村がそれぞれに頑張りなさい」というわが国の意向である.日本の人口は減少を示し始め,政策は「基盤整備」から「システム」という見えないものに向いてきている.そのなかで理学療法士にとっては初めての地域包括ケア病棟という包括報酬の病棟が出現した.患者側からすれば,入院条件を問われることなく容易に入院でき,十分なリハビリテーションを受けられ,日々変動する高齢者の健康状態に見合った画期的な病棟と言える.

 藤森研司先生には入院医療の調査検討委員の立場から地域包括ケア病棟創設の背景や現状などについて述べていただいた.医療の変遷,その社会背景などを幅広い視点で述べられており,地域包括ケア病棟だけでなく今後の理学療法を読み解くうえでも有意義な一稿である.宇都宮啓先生は病棟にまつわる地域包括ケアのみならず,今後のリハビリテーションの方向性も示唆している.ぜひ読み込んでいただきたい.小磯寛先生は都市部における地域包括ケア病棟について,その運営状況のみならず地域連携などに関する病院の幅広い取り組みについて述べられている.地域包括ケア病棟を新設する病院の参考となる貴重な内容である.三浦豊彦先生は,地方の中核病院における地域包括ケア病棟について述べている.高齢者が多いにもかかわらず,人材確保の問題も含めあらゆる資源に乏しい地域事情ながら,画一した基準で病棟を運営しなければならない病棟のありかたに一石を投じている.湯口聡先生は,循環器疾患専門病院における地域包括ケア病棟について述べられている.専門病院ながら退院後の生活を踏まえた幅広い取り組み,先の二人の先生方も同様であるが,患者の退院後の生活を見据えた視野は,他の専門職からは群を抜く理学療法の専門そのものであると確認できた企画となった.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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