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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル50巻12号

2016年12月発行

文献概要

1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?

長寿者の健康

著者: 新井康通1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター

ページ範囲:P.1123 - P.1123

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 世界保健機関(World Health Organization:WHO)の定義によれば,健康とは「病気でないとか,弱っていないということだけではなく,肉体的にも,精神的にも,そして社会的にも,すべてが満たされた状態」を指す.高齢者医療に携わる者としては,この定義は理想的ではあるが,現実とかけ離れている印象を感じざるを得ない.一方,健康寿命は「ADLが自立している期間」や「日常生活の制限のない期間」と定義されており,高齢者の健康を考える場合,ADLが中心的な領域であることがわかる.

 100歳以上の高齢者(百寿者)や,105歳以上の超百寿者は,ADLが自立している期間が長く,健康長寿のモデルと考えられる.筆者らの研究グループ1)では1992年より,東京都健康長寿医療センターとの共同研究で東京都在住の百寿者304名を対象とした疫学調査を行った.その結果,97%の百寿者が何らかの慢性疾患を有していた.最も頻度が高い疾患としては高血圧(63.6%)で,女性においては骨折の既往も高頻度(52.3%)であった.一方,百寿者で頻度が低い疾患の代表が糖尿病であり,一般の高齢者の3分の1程度の罹患率(6.0%)であった.つまり,長寿者と言えども慢性疾患と無縁とはいかないのである.

参考文献

1)Gondo Y, et al:Functional status of centenarians in Tokyo, Japan:developing better phenotypes of exceptional longevity. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 61:305-310, 2006
2)Takayama M, et al:Morbidity of Tokyo-area centenarians and its relationship to functional status. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 62:774-782, 2007
3)Arai Y, et al:Inflammation, but not telomere length, predicts successful ageing at extreme old age:a longitudinal study of semi-supercentenarians. EBioMedicine 2:1549-1558, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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