報告
慢性期脳卒中患者に対する間欠入院による集中的理学療法の効果—歩行可能例を対象とした検討
著者:
岡田誠
,
和田智弘
,
岡前暁生
,
難波敏治
,
陽川沙季
,
内山侑紀
,
山本憲康
,
福田能啓
,
道免和久
ページ範囲:P.221 - P.227
要旨 [目的]本研究の目的は,慢性期脳卒中患者に対し,間欠入院による集中的な理学療法を実施し,その効果を検討することである.[方法]在宅・施設生活のなかで機能低下が生じた15名の慢性期脳卒中患者を対象に,間欠入院による集中的な理学療法を実施し,その効果を検討した.評価にはBerg Balance Scale(BBS),Functional Movement Scale(FMS),10m最大歩行時間,下肢の上田式片麻痺回復グレード(下肢グレード),片麻痺の頸部・体幹・骨盤運動機能検査(Motor Functional Test for Neck, Trunk, Pervis of the People with Stroke:NTP),Functional Independence Measure(FIM)の運動項目,認知項目,FIM合計点,およびFIM各下位項目の得点を用いた.[結果]BBS,FMS,10m最大歩行時間,FIM運動項目,FIM合計点,FIM移動と階段の項目については,入院時に比べ退院時で有意(p<0.05)な改善を認めた.一方,下肢グレード,NTP,FIM認知項目,移動と階段以外のFIM下位項目に有意な変化はなかった.[結論]在宅・施設生活のなかで運動機能が低下した慢性期脳卒中患者に対し,集中的な理学療法を実施することで,バランスや歩行などの動作能力および日常生活動作の回復について効果があることが示唆された.