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特集 最新の糖尿病治療と運動療法
糖尿病治療の進歩と展望
著者: 𠮷岡成人1
所属機関: 1NTT東日本札幌病院
ページ範囲:P.145 - P.151
文献購入ページに移動糖尿病の治療における3つの柱として,① 食事療法,② 運動療法,③ 薬物療法があり,これらを一人ひとりの患者さんの状態に応じて適切に組み合わせ,糖尿病ではない人と変わらない日常生活のQOLを維持することが糖尿病の治療の目標である.
1921年にバンチングとベストらによってインスリンが精製され,1957年にスルホニル尿素(sulfonylurea:SU)薬であるトルブタミドが使用されるようになったことでスタートした糖尿病の治療は20世紀後半から著しい進歩をとげた.インスリン製剤は,ブタ,ウシの製剤からヒトインスリン,インスリンアナログ製剤へと進歩をとげ,α-グルコシダーゼ阻害薬,グリニド薬,チアゾリジン薬,メトホルミンの再評価を経て,DPP-4(dipeptidyl peptidase Ⅳ)阻害薬,SGLT2(sodium-glucose co-transporter 2)阻害薬が登場した.30年前には速効型インスリン,中間型インスリン,SU薬でしか治療できなかった糖尿病治療には大きな多様性が与えられた.一方,日本の社会は高齢化が著しく,人口の26%は65歳以上の高齢者である.高齢の糖尿病患者も増加しており,加齢に伴う認知機能障害,がん,骨粗鬆症,歯周病などは糖尿病の併発疾患としても注目されている.
本稿では,糖尿病の食事療法,薬物療法の最近の進歩と今後の展望について概説を加える.
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