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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル50巻2号

2016年02月発行

文献概要

特集 最新の糖尿病治療と運動療法

糖尿病外来における運動療法の実践と効果

著者: 天川淑宏1

所属機関: 1東京医科大学八王子医療センター糖尿病・内分泌・代謝内科

ページ範囲:P.179 - P.189

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はじめに

 食後に血糖値が上がったから運動でエネルギーを消費して血糖値を下げる.この取り組みは必ずしも間違った方法ではないが,本来,運動療法がめざすべきことは,苦なく動けるカラダを維持し,インスリン標的臓器のなかで最大の糖取り込み器官である骨格筋の質を保ち,インスリン感受性を高め,膵臓を守ることにある.

 2型糖尿病の発症は,肥満,運動不足,ストレス,不適切な食事などの生活習慣の乱れによるインスリン抵抗性の増加と,食後のインスリン分泌パターンの低下や遅延型などの遺伝的体質が重なって血糖値の上昇が生じたものであり,食事の見直し,日常的身体活動量の確保,ストレスの処置方法など,日常的な自己管理が治療として重要である.

 これに対し,1型糖尿病の目標は,インスリン治療を主に日常の食事量と内容,運動の質と持続時間の3つの関係より,良好な血糖コントロールや体重コントロールをめざすことであり,患者が意図する運動をいかに安全に実施できるかをチーム医療でサポートしていくことが重要である.

参考文献

1)日本糖尿病学会(編):科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013.南江堂,pp41-45,2013
2)健康日本21推進フォーラム:検診後の受診率・受療率調査—糖尿病の合併症対策のために(報道用資料),2011.http://www.kenko-nippon21forum.gr.jp/free/prerelease/contents033.pdf(2015年12月15日閲覧)
3)日本糖尿病療養指導士認定機構(編著):糖尿病療養指導ガイドブック2015—糖尿病療養指導士の学習目標と課題.pp86-90,メディカルレビュー,2015
4)天川淑宏:糖尿病メモ—運動器疾患.清野 裕,他(監),大平雅美,他(編):糖尿病の理学療法.pp292-301,メジカルビュー,2015
5)天川淑宏,他:歩行運動強度(Mets)と1分間の歩数(cadence)との関係式.糖尿病54(Suppl):S-193,2011
6)跡見順子:細胞の視点からfasciaを捉える—“The 2nd International Fascia Research Congress”に参加して.スポーツメディスン22:23-25,29-30,2010
7)Ito, Y. Passive stretching produces Akt- and MAPK-dependent augmentations of GLUT4 translocation and glucose uptake in skeletal muscles of mice. Pflugers Arch 451:803-813, 2006
8)天川淑宏,他:至適運動強度における中等度歩行運動の心拍数(50%心拍数)と1分間の歩数(cadence)の関係,糖尿病57(Suppl):467,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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