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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル50巻3号

2016年03月発行

文献概要

特集 TENS

機能性月経困難症に対するTENSの影響

著者: 宮川真実1 納田美奈子2

所属機関: 1ベルランド総合病院理学療法室 2城山病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.273 - P.276

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はじめに

 わが国において女性の社会進出が進んでいるのは周知の事実である.厚生労働省によると,2011年の女性の労働力人口は2,632万人となっており,労働力人口総数に占める女性の割合は42.0%にも上るとされている1)

 働く女性が増加している一方で,月経痛が社会的な問題となっている.働く女性の健康に関する実態調査によると,16歳から50歳未満の女性1,906人のうち月経痛がかなりひどい(服薬しても会社を休む)人は2.8%,ひどい(服薬すれば仕事ができる)人は25.8%で,この両者を併せると28.6%,つまり4分の1以上の女性が強い月経痛を訴えていると報告されている2).また月経困難症のもたらす社会経済学的損失のうち,労働損失のみで年間約3,800億円と推計されている3)

 性成熟期の女性は妊娠時あるいは授乳期を除くと,通常28〜30日前後の周期で子宮からの出血を繰り返している.これは子宮内膜が卵巣からの性ステロイドホルモンに反応して変化した結果であり,月経といわれる.月経困難症とは,この月経時に下腹部痛や腰部痛など骨盤を主体とした耐えがたい疼痛を主体とするものであり4),多くの女性のADLやQOL低下に関与していると予想される.さらに社会的損失にも影響を及ぼしており,この月経困難症の治療方法の確立が必要であることは言うまでもない.

参考文献

1)厚生労働省:平成23年度版働く女性の実情.http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/11.html(2015年10月11日閲覧)
2)働く女性の身体と心を考える委員会:月経痛 働く女性の健康に関する実態調査結果.働く女性の身体と心を考える委員会報告書,財団法人女性労働協会,2004
3)厚生労働省:リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)から見た子宮内膜症等の予防,診断,治療に関する研究(総括研究報告書)(2000年度総括).https://research-er.jp/projects/view/129384(2015年10月11日閲覧)
4)坂元正一,他:[改訂版]プリンシプル産科婦人科学1.p275,メジカルビュー社,1997
5)山崎英樹,他:治療の実際—思春期の月経困難症.臨と研88:1202-1204,2011
6)Lefebvre G, et al:Primary dysmenorrhea consensus guideline. J Obstet Gynaecol Can 27:1117-1146, 2005
7)平田まり:若年女性の月経痛に対する鎮痛剤の使用実態と教育的課題.学校保健研究53:3-9,2011
8)川瀬良美:月経随伴症状のセルフケア.産と婦78:1377-1382,2011
9)Proctor M, et al:Transcutaneous electrical nerve stimulation for primary dysmenorrhea. Cochrane Database Syst Rev:CD002123, 2010
10)Han JS, et al:Effect of low and high frequency TENS on met-enkephalin-argphe and dynorphin A immunoreactivity in human lumbar CSF. Pain 47:295-298, 1991
11)Han JS:Neurochemical basis of acupuncture analgesia. Annu Rev Pharmacol Toxicol 22:193-220, 1982
12)Platon B, et al:High-frequency, high-intensity transcutaneous electrical nerve stimulation as treatment of pain after surgical abortion. Pain 148:114-119, 2010
13)澤田益臣:月経困難症に対する低用量経口避妊薬(OC)の効果.産婦の進歩60:445,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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