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書評 —神津 玲(責任編集)—「理学療法MOOK 18 ICUの理学療法」 フリーアクセス
著者: 松永篤彦1
所属機関: 1北里大学大学院医療系研究科
ページ範囲:P.335 - P.335
文献購入ページに移動さて,このように,ICUにおいて,理学療法士による確かな治療技術が求められているなか,三輪書店から理学療法MOOKシリーズ18「ICUの理学療法」が出版された.まずは本書の目次とその構成,および筆者の先生方を一見させていただいたが,私にはすぐさま,編集された神津玲先生(長崎大学大学院)の強い思いとこだわりが伝わってきた次第である.一般に,「○○の理学療法」というと,“how to”が主体であろうと思う.しかし,本書は私の想像を遙かに超える生きた知識(本書では,病態の理解のための知識,治療と管理の基本)が盛り込まれており,しかもページ数は全体の約3分の2にも及んでいる.さらに,これらの知識に関する箇所はすべて,第一線の現場(ICU)で指揮を取られている医師によって執筆されている.前述のように,理学療法士がICUで求められている知識と技術は,ICUで施される初期治療とは異なる内容ではなく,まさにその治療の一部あるいはその治療そのものである.それゆえ,ICUにおいて,今,何の治療が何の目的で実施されて,チーム全体が何を求めている(期待している)のかを的確に把握できなければならない.さらに理学療法士はICUで実施されている治療指針をもとに,理学療法という治療手技をどのように組み込むかといった指針(本書では,理学療法のプログラミングと実際)を明確に伝えることができなくてはならない.まさに,これがICUにおける本来の“how to”であり,本書が伝えたい,神津先生が読者に訴えたいこと,と確信した次第である.この書評を読み共感できた方,そしてICUでの実践的知識を会得したい方に,ぜひとも本書を手にしてICUの現場に臨まれることを強くお勧めする.
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