報告
内側開大型高位脛骨骨切り術前後における疼痛変化およびそれに関連のある術前因子についての分析
著者:
近藤淳
,
沼田純希
,
永塚信代
,
糟谷紗織
,
雲谷夏美
,
井上宜充
ページ範囲:P.430 - P.435
要旨 [研究の目的]今回,内側開大型高位脛骨骨切り術(open wedge high tibial osteotomy:OWHTO)による除痛への効果的な術前理学療法に反映する目的で,OWHTO術前から術後12か月の疼痛変化を調査するとともに,術後除痛効果に関連する術前因子を検討した.[方法]対象は片側膝にOWHTOを行った患者40例40膝であった.疼痛の評価としてKnee injury and Osteoarthritis Outcome Scoreの疼痛の下位尺度(KOOS pain:KP)を使用し,術前・術後1,3,6,12か月で調査し各時期での差を検討した.OWHTOによる除痛効果の指標として術後各時期のKPから術前KPを引いたKP術前差を算出した.KP術前差と関連を検討した術前因子は,年齢・体重・Body Mass Index(BMI)・膝関節伸展屈曲可動域・膝関節伸展筋力・大腿脛骨角とした.[結果]OWHTO術前後のKPの変化に関して,術後1か月では術前と差がなく,術後3か月で術前より有意に改善し,その後術後12か月まで段階的に有意に改善していた.術前因子とKP術前差との関連に関して,術後1,3か月のKP術前差と年齢に負の相関,術後6,12か月のKP術前差と術前の膝関節伸展可動域に正の相関があった.[結論]OWHTO術後は1か月では術前と疼痛変化はなく,3か月以降は12か月まで疼痛は改善していた.また除痛効果と術後1,3か月では除痛効果と年齢,術後6,12か月では除痛効果と術前の膝関節伸展可動域に関連があった.