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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル50巻4号

2016年04月発行

文献概要

特集 理学療法からみた「予防」の取り組みと効果

理学療法からみた「予防」の取り組みと効果

著者: 植松光俊12 大工谷新一3

所属機関: 1星城大学 2株式会社リハステージ 3株式会社リビングケア

ページ範囲:P.345 - P.352

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はじめに

 理学療法はその性質により,以下のように分けられる.

1.治療的な理学療法

2.リハビリテーション医学の一領域としての理学療法

3.疾病や傷害の発生予防を目的とした理学療法

 この3の理学療法においては,健康日本21における視点からみると(図1),

1)一次予防としての学校での健康管理,産業保健,地域における高齢者の転倒や生活機能低下を予防する取り組み

2)二次予防(早期発見・早期治療)としての特定保健指導による生活習慣病の予防の取り組み

3)三次予防としての実際に疾病や傷害により治療や医学的リハビリテーションとしての理学療法を提供した方々に対する再発予防や活動性向上と社会参加の促進というかかわりによる予防の取り組み

という3つの領域が包含されている.

 一方,理学療法効果がみられる代表的な問題としては,痛みや筋力低下などの機能障害,メンタルヘルス(更年期や労働者の抑うつ状態,ストレス情動,認知機能低下),体力低下などがある.理学療法では,運動療法や物理療法,装具療法により,これらの諸問題の解決に寄与していることは自明であり,理学療法効果としてこれらが解決することにより,引きこもりが改善するなど,活動や参加の向上も得られる.

 本稿では,理学療法における「予防」に関する取り組みの現状と可能性について供覧したうえで,地域包括ケアシステムにおける理学療法モデルの可能性について提示する.

参考文献

1)厚生労働省:健康づくりのための運動基準2006〜身体活動・運動・体力〜報告書.運動所要量・運動指針の策定検討会,2006
2)厚生労働省:健康づくりのための運動指針2006〜生活習慣病予防のために〜エクササイズガイド2006.運動所要量・運動指針の策定検討会,2006
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6)大工谷新一:学校・地域における運動器対策と理学療法士の取り組み.理学療法学42:643-644,2015
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17)甲斐裕子,他:職業性ストレスに着目した余暇身体活動と抑うつの関連性についての検討.体力研究107:1-10,2009
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19)河原大陸,他:チェンソーを用いる伐倒作業姿勢の違いが体幹筋群の筋活動量に与える影響.産業衛誌57:111-116,2015
20)齋藤貴文,他:身体活動と座位行動の慢性腰痛に対する組み合わせリスク.体力科学64:435-442,2015
21)厚生労働省:地域包括ケア研究会報告書(平成22年3月),2010
22)厚生労働省:社会保障・税一体改革で目指す将来像(平成24年3月),2012
23)厚生労働省:介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて(老発0605第5号平成27年6月5日):11,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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