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特集 運動器疾患—エキスパートはこうみる
スポーツにおける腰痛予防と動作管理
著者: 蒲田和芳1
所属機関: 1広島国際大学総合リハビリテーション学部リハビリテーション学科
ページ範囲:P.489 - P.497
文献購入ページに移動スポーツ選手の腰痛治療および予防を考えるにあたっては,腰部へのストレス集中のメカニズムを見極め,その原因を取り除くことが不可欠である.腰痛発生の要因として,練習環境やサーフェス,用具,練習量,練習内容などの外的要因と,アライメントや筋力,柔軟性といった内的要因が関与する.同じ環境で同じ練習を行っており,外的要因を共有する同一チームにおいても,内的要因の相違により腰痛罹患者と非罹患者とに分かれる.本稿では,このうち内的要因のみについて記述する.
内的要因に着目した腰痛予防策を立案するためには,罹患者と非罹患者を分ける要因を理解し,罹患者となる要因を排除する方策を考えなければならない.そして,治療の過程をできる限り一般化かつ簡略化し,多人数で実施可能な「腰痛予防プログラム」を日常の練習に組み込まなければならない.さらに,日常的なスクリーニングにより,発症リスクの高い選手を抽出し,発症前に個別プログラムを適用することが望ましい.
数多くのスポーツ種目があるなかで,スポーツ選手全般の腰痛予防効果に関するエビデンスは不足している.本稿では,今後の腰痛研究の叩き台として,筆者が臨床および予防において考慮している点を記載するとともに,スポーツ現場で実施可能な腰痛予防策案を紹介する.
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