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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル50巻7号

2016年07月発行

文献概要

特集 被殻出血と理学療法

内上方に拡がる被殻出血と理学療法

著者: 森下一幸1

所属機関: 1浜松市リハビリテーション病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.643 - P.652

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はじめに

 被殻出血は脳出血の約40%を占め,高血圧性脳出血の代表的な病型とされている1).ヒトの脳は複雑でお互い強く影響し合う回路網で結ばれており,脳卒中により麻痺が生じた状態では運動を指令したり,姿勢を制御したりする回路が途中で伝わらなくなる,あるいは伝わりにくくなることが生じる.結果,環境との相互作用において自律的あるいは自動化された身体反応としての「運動」が行えなくなり,その結果として動作・行為が行えなくなる2).本稿では,被殻出血の理学療法,特に「内上方に拡がる被殻出血」について,大脳基底核,皮質網様体路など被殻出血により障害される周辺神経路の影響も考慮しつつ,臨床でのかかわりについて実例を挙げてまとめてみたい.

 なお,症例については本掲載に関しての説明を書面にて行い同意を得ている.

参考文献

1)豊倉 穣,他:脳卒中の病型・病巣別リハビリテーション—被殻出血.臨床リハ13:342-349,2004
2)高村浩司:成人片麻痺の評価と治療—立位・歩行における問題と治療.理学療法兵庫17:17-18,2011
3)中野 隆:随意運動伝導路の機能解剖(4).理学療法20:888-891,2003
4)Steward O(著),伊藤博信,他(訳):機能的神経科学.pp279-295,シュプリンガー・フェアラーク東京,2004
5)高草木 薫:大脳基底核による運動の制御.臨神経49:325-334,2009
6)高草木 薫:運動麻痺と皮質—網様体投射.脊椎脊髄27:99-105,2014
7)高草木 薫:ヒトの脳と運動制御.長崎理学療法7:1-10,2006
8)梶浦一郎,他(編):脳卒中の治療・実践神経リハビリテーション.pp68-76,市村出版,2010
9)冨田昌夫:障害者の運動学習と環境適応.理学療法学30:140-144,2003
10)内山 靖(編著):環境と理学療法.pp88-98,医歯薬出版,2004
11)冨田昌夫:運動療法,その基本を考える—重力への適応.理療研27:3-9,2010
12)土井和雄,他(編):シリーズ移動知第2巻 身体適応—歩行運動の神経機構とシステムモデル.オーム社,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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