文献詳細
文献概要
症例報告
機械的咳介助(MI-E)を用いた呼吸理学療法により肺胸郭コンプライアンスが維持できた侵襲的陽圧換気療法—筋萎縮性側索硬化症の1例
著者: 加藤友記1 丸山昭彦1 荒巻晴道1 齋藤正雄2 石井恵子2 大熊彩3
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構箱根病院神経筋・難病医療センターリハビリテーション科 2独立行政法人国立病院機構箱根病院神経筋・難病医療センター看護科 3独立行政法人国立病院機構箱根病院神経筋・難病医療センター神経内科
ページ範囲:P.700 - P.703
文献購入ページに移動呼吸理学療法の効果として,MI-E施行後に1回呼気量(tidal volume expiratory:Vte)と静肺コンプライアンス(static lung compliance:Cst)が有意に増加した(p<0.01).また,1回呼気量においては,前半6週(1〜6週)に比べ,後半(7〜12週)に有意に増加した(p<0.05).胸郭拡張差(difference of chest expansion:Dce)に変化はなかった.
12週間を通じてVteとCstに変化を認めたことから,MI-Eは排痰効果のみならず,肺胸郭コンプライアンスを維持・改善させる可能性が示唆された.本例では,MI-Eを用いた呼吸理学療法によって気道クリアランス確保と肺胸郭コンプライアンスが維持・改善し,肺炎や無気肺など肺合併症の発症リスクが減少したと推察する.今後,症例を重ねて検討していく必要がある.
参考文献
掲載誌情報