文献詳細
文献概要
--------------------
編集後記 フリーアクセス
著者: 吉尾雅春
所属機関:
ページ範囲:P.708 - P.708
文献購入ページに移動さて,そう言いながら,本号の特集は「被殻出血と理学療法」という,半ばピンポイントに焦点を当てたようなタイトルになっています.過去の特集や研究報告では「脳卒中片麻痺に対する…」というような表現がほとんどです.脳は局所的にもシステム的にもさまざまな働きをします.脳卒中によってそのシステムが壊れるわけですから,ザックリと「脳卒中片麻痺」と表現するのは明らかに好ましいものではありません.脳の構造学的なことや機能的なことはかなり解明されていますから,起こっている現象を脳を対象として説明できるようになってきました.病態の原因となる脳の損傷がわかると戦略も見えてきます.やみくもに戦わず,効率的・効果的な策を練ることができるかもしれません.これを戦略といいます.被殻出血は脳出血のなかで約40%を占めますが,その病態は多岐にわたります.そうなる理由があるからです.それを明らかにすることによって,理学療法評価やかかわり方を一考していただこうという目的で企画したものです.熟読していただくと,ヒトだけではなく,人間をみていくことにもつながる内容であると理解していただけるでしょう.それぞれの執筆者には過去に十分な情報がないなかで果敢に挑戦していただきました.この特集が脳の中を丁寧にみながら理学療法を行っていく世界への入口になることを期待しています.
掲載誌情報