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特集 重症下肢虚血と理学療法
重症下肢虚血の理学療法—トータルフットマネジメントの実際
著者: 榊聡子1
所属機関: 1IMSグループ春日部中央総合病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.827 - P.832
文献購入ページに移動末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)は心臓および冠動脈以外の大動脈(胸部,腹部),腹部内臓,四肢および末梢の動脈(頸動脈,鎖骨下動脈,腸骨動脈など)を含む,全身の動脈硬化疾患であり,多くは下肢血管に病変がある.重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)は動脈閉塞性疾患に起因する下肢の慢性の虚血性安静時疼痛,潰瘍あるいは壊疽を有する状態である1).CLIは悪化に伴い安静時疼痛の増悪や創傷により歩行能力やQOLが低下しやすいため,リハビリテーションの必要性は高い2).
PADのなかでCLI発症は1〜3%といわれているが,1年の予後調査では,30%が切断を余儀なくされ,25%は死亡するという極めて予後不良な疾患と報告されている1).よってPADの悪化を防ぎ,リスクファクターに対して治療していくことが重要である.
CLIの併存疾患として糖尿病や心血管疾患が多く,糖尿病患者は知覚障害により創傷を発見しにくく再発しやすい.またPAD患者の死亡要因として心血管関連死が最も多いため1),運動時の心疾患へのリスク管理も重要である.理学療法実施においては併存疾患におけるリスク管理や末梢血流の状況,創傷管理に留意する必要がある.しかしCLIの理学療法における報告は寡少であるため,本稿では春日部中央総合病院(以下,当院)の取り組みも含めてCLIの理学療法について各病期に分けて紹介する.
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