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文献概要
臨床実習サブノート 臨床実習のリスク 地雷を踏むな!・4
摂食嚥下障害
著者: 中島活弥1
所属機関: 1藤沢湘南台病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.888 - P.895
文献購入ページに移動はじめに
われわれは臨床で低栄養,嚥下障害の方が増加傾向にあることを実感する.しかし,低栄養や嚥下障害となると栄養士や言語聴覚士などの仕事と考える医療従事者は多い.そのためか,栄養サポートチームや摂食嚥下障害チームに理学療法士が参画している報告は少ない.しかし,摂食嚥下障害は各職種の連携によって評価,治療されるべきものである.
運動療法の処方が出ても訪室すると,「睡眠中」,「いわゆる活気がない」など活動量が明らかに低下している方に遭遇する.食事摂取量はわずか,水分もとれておらず,口腔乾燥がひどい.総蛋白やアルブミンは低値を示し,握力,下腿周径などは経時的に減っていく.このような方には適切な栄養療法なしでの運動療法は困難(場合によっては禁忌)である.その栄養は経腸栄養が望ましく,経路は「口から!」が最良だと思う.ただし,経口摂取にはさまざまなリスク対策と準備が必要である.
本稿では摂食嚥下障害を有する症例に対し,どのような思考で病態を捉えリスク管理を徹底し,理学療法に臨んでいるかを述べる.学生だけでなく有資格者の諸兄にも興味をもっていただければ幸いである.
われわれは臨床で低栄養,嚥下障害の方が増加傾向にあることを実感する.しかし,低栄養や嚥下障害となると栄養士や言語聴覚士などの仕事と考える医療従事者は多い.そのためか,栄養サポートチームや摂食嚥下障害チームに理学療法士が参画している報告は少ない.しかし,摂食嚥下障害は各職種の連携によって評価,治療されるべきものである.
運動療法の処方が出ても訪室すると,「睡眠中」,「いわゆる活気がない」など活動量が明らかに低下している方に遭遇する.食事摂取量はわずか,水分もとれておらず,口腔乾燥がひどい.総蛋白やアルブミンは低値を示し,握力,下腿周径などは経時的に減っていく.このような方には適切な栄養療法なしでの運動療法は困難(場合によっては禁忌)である.その栄養は経腸栄養が望ましく,経路は「口から!」が最良だと思う.ただし,経口摂取にはさまざまなリスク対策と準備が必要である.
本稿では摂食嚥下障害を有する症例に対し,どのような思考で病態を捉えリスク管理を徹底し,理学療法に臨んでいるかを述べる.学生だけでなく有資格者の諸兄にも興味をもっていただければ幸いである.
参考文献
1)若林秀隆,他(編):サルコぺニアの摂食・嚥下障害—リハビリテーション栄養の可能性と実践.p5,医歯薬出版,2012
2)藤島一郎:嚥下障害リハビリテーション入門Ⅰ 嚥下障害入門—原因,症状,評価(スクリーニング,臨床評価)とリハビリテーションの考え方.Jpn J Rehabil Med 50:202-209,2013
3)小山珠美(編):口から食べる幸せをサポートする包括スキル—KTバランスチャートの活用と支援.pp14-106,医学書院,2015
4)日野原重明:POS—医療と医学教育の革新のための新しいシステム,医学書院,1998
5)北條京子,他:誤嚥性肺炎後の嚥下評価とリハビリテーション.総合リハ43:105-113,2015
6)内田 学,他:空嚥下を用いた誤嚥のスクリーニング.臨床福祉ジャーナル9:34-38,2012
7)小林健太郎,他:嚥下訓練のリスク管理.MB Med Rehabil 120:65-72,2010
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