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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル51巻1号

2017年01月発行

文献概要

特集 多職種で取り組むがん診療と理学療法

緩和ケアチーム活動の意義と理学療法士の視点

著者: 村岡法彦1 菊池秀也1 島田勝規2 菅原かおり3 千葉恒4

所属機関: 1JA北海道厚生連倶知安厚生病院理学療法技術科 2JA北海道厚生連旭川厚生病院理学療法技術科 3JA北海道厚生連旭川厚生病院緩和ケア科 4北海道社会事業協会富良野病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.17 - P.25

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はじめに

 わが国では,2006年のがん対策基本法の施行および2007年のがん対策推進基本計画の策定により,がん診療にかかわるすべての施設での早期からの適切な緩和医療の提供が求められるようになった.また,2009年には全国のがん診療連携拠点病院(以下,がん拠点病院)に緩和ケアチーム(palliative care team:PCT)の設置が義務づけられるようになった.PCTとは,がんなどの病気をもつ患者・家族のQOLの維持向上を目的に,担当医や病棟スタッフと協働しながら専門的知識や技能を提供し,地域連携の調整や緩和ケアの啓蒙などを行う多職種から構成されるチームである.現在までに多くのPCTが活動し,疼痛の軽減やQOLの改善など活動の有効性が示されている1).しかし課題も多く,マンパワーの問題やPCT活動の周知不足,PCTメンバーが知識・技術・態度を修得するシステムが十分でないことなどが挙げられている2)

 一方,リハビリテーションについては2007年度に厚生労働省委託事業としてがんのリハビリテーション研修が始まり,ここ10年で大きく発展してきた.しかしながら高度がん専門医療機関やがん拠点病院といった施設での取り組みが多く,今後は地域の病院も含めて均一な,質の高いがんリハビリテーション医療を提供することが求められている.PCTの課題と同様に,教育体制の充実やがん拠点病院を中心とした病院間の交流,研修会の拡充,市民への啓発活動,在宅ケアなども重要な課題とされている3)

 本稿では,筆者が以前在籍していたPCTでのかかわりを報告するとともに,現在所属するPCTが存在しない一般病院でのがんリハビリテーションの現状を調査・報告し,理学療法士としてどのようにがん緩和ケアを実践し,今後に発展させていくか提言したい.

参考文献

1)新家治子,他:緩和ケアチーム介入によるがん患者QOLの変化についての検討.Palliative Care Res 7:368-373,2012
2)橋爪隆弘:緩和ケアチームの現状と課題.Pharma Medica 31:25-29,2013
3)辻 哲也:がんリハビリテーション最前線.理学療法学42:352-359,2015
4)厚生労働省:がん対策基本法.http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO098.html(2016年6月26日閲覧)
5)厚生労働省:人口動態統計年報 主要統計表 第5表 死亡の場所別にみた死亡数・構成割合の年次推移.http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii10(2016年8月21日閲覧)
6)村岡法彦,他:緩和ケアチームにおける理学療法士の役割.北海道理学療法31:16-20,2014
7)増田芳之:放射線治療中のがん患者の問題点と理学療法の関わりの実際.理学療法27:1185-1192,2010
8)石井 瞬,他:保存的治療が適応となるがん患者に対する低強度運動が身体活動量,身体・精神症状,QOLにおよぼす影響.Pain Rehabilitation 5:36-42,2015
9)岡村 仁:がん医療の均てん化に資する緩和医療に携わる医療従事者の育成に関する研究(リハビリテーションスタッフの育成に関する研究).緩和医療に携わる医療従事者の育成に関する研究.平成22年度総括・分担研究報告書,pp58-61,2011
10)小野瀬雅也:がん患者のこころのケア—家族をがんで失った人々の心のケア.治療87:1561-1565,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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