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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル51巻1号

2017年01月発行

文献概要

特集 多職種で取り組むがん診療と理学療法

終末期がん患者を支える理学療法士の視点

著者: 林邦男1

所属機関: 1社会医療法人栄光会栄光病院リハビリテーション課

ページ範囲:P.35 - P.43

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はじめに

 2006年のがん対策基本法の制定や2010年度診療報酬改定において疾患別リハビリテーションとしてがん患者リハビリテーション料が初めて認められたこと,日本がんリハビリテーション研究会の発足などの経過を経てがん患者へのリハビリテーションの提供が年々充実してきており,終末期にかかわる理学療法士,作業療法士,言語聴覚士[以下,(3職種を合わせて)セラピスト]の研究や報告も学会や研究会などで積極的に発表されるようになってきている.しかし,終末期がん患者に対するセラピストの介入はホスピス緩和ケア病棟においては緩和ケア病棟入院基本料に包括されており,個別介入に対する疾患別リハビリテーション料としての出来高算定や病棟専従配置による加算などは認められていないのが現状である.

 がんは長きにわたり日本人の死亡原因第1位にもかかわらず,がん終末期のリハビリテーションはまだまだ歴史が浅く,臨床場面であたりまえのように理学療法士がかかわっているとは言いがたい状況である.それぞれに手探りの状態で日々の臨床を過ごしている理学療法士も多いのではないかと思う.このような状況のなかでも,ホスピス緩和ケア病棟において終末期がん患者を支えるチームアプローチの一員として理学療法士に対するニーズは高く,医師から多くの処方がなされているのも事実である.

 本稿では,筆者の約14年にわたるホスピス緩和ケア領域における臨床経験に基づき,終末期がん患者を支える理学療法士に求められる視点や業務姿勢,多職種連携などについて述べるとともに,いかにして求められる“人財”を育成していくかについても私的見解を述べたい.

参考文献

1)今田 拓:リハビリテーション医療をめぐる社会保障制度総説.日医会誌112:282-289,1994
2)Saundars C:Care of the dying-1. The problem of euthanasia. Nurs Times 72:1003-1005, 1976
3)日本理学療法士協会:ADLとQOL,そしてQOD.http://www.japanpt.or.jp/members/message/archieve/1403101(2016年11月14日閲覧)
4)清田直人:第8回日本スピリチュアルケア学会学術大会「定義構築ワークショップ」.2015
5)野尻中央病院:スパインダイナミクス療法.http://nojiri-ch.com/sd(2016年11月16日閲覧)
6)林 邦男:ホスピス.安部能成(編):終末期リハビリテーションの臨床アプローチ.メジカルビュー社,pp143-155,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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