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特集 多職種で取り組むがん診療と理学療法
終末期がん患者を支える理学療法士の視点
著者: 林邦男1
所属機関: 1社会医療法人栄光会栄光病院リハビリテーション課
ページ範囲:P.35 - P.43
文献購入ページに移動2006年のがん対策基本法の制定や2010年度診療報酬改定において疾患別リハビリテーションとしてがん患者リハビリテーション料が初めて認められたこと,日本がんリハビリテーション研究会の発足などの経過を経てがん患者へのリハビリテーションの提供が年々充実してきており,終末期にかかわる理学療法士,作業療法士,言語聴覚士[以下,(3職種を合わせて)セラピスト]の研究や報告も学会や研究会などで積極的に発表されるようになってきている.しかし,終末期がん患者に対するセラピストの介入はホスピス緩和ケア病棟においては緩和ケア病棟入院基本料に包括されており,個別介入に対する疾患別リハビリテーション料としての出来高算定や病棟専従配置による加算などは認められていないのが現状である.
がんは長きにわたり日本人の死亡原因第1位にもかかわらず,がん終末期のリハビリテーションはまだまだ歴史が浅く,臨床場面であたりまえのように理学療法士がかかわっているとは言いがたい状況である.それぞれに手探りの状態で日々の臨床を過ごしている理学療法士も多いのではないかと思う.このような状況のなかでも,ホスピス緩和ケア病棟において終末期がん患者を支えるチームアプローチの一員として理学療法士に対するニーズは高く,医師から多くの処方がなされているのも事実である.
本稿では,筆者の約14年にわたるホスピス緩和ケア領域における臨床経験に基づき,終末期がん患者を支える理学療法士に求められる視点や業務姿勢,多職種連携などについて述べるとともに,いかにして求められる“人財”を育成していくかについても私的見解を述べたい.
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