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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル51巻11号

2017年11月発行

文献概要

学会印象記

—WCPT Congress 2017—参加して感じた世界と日本の理学療法

著者: 長谷川真人1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.1011 - P.1013

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はじめに

 第18回世界理学療法学術大会(World Confederation for Physical Therapy:WCPT)Congress 2017に参加する機会を得た.WCPTは1951年設立の非営利団体で,世界の理学療法士の連携を通して高い水準の標準の臨床,教育,研究を促進し,世界的な健康の改善に寄与するなどの目的を掲げている.その主な活動が今までは4年に1回のWCPT Congressの開催で,1999年にはアジアで初となる横浜大会が行われている.今回からは2年に1回の開催となり,2017年7月2〜4日にケープタウン(南アフリカ共和国)でアフリカ大陸初のWCPT Congress 2017が開催された.

 南アフリカ共和国は人口約5495万人で,ノーベル平和賞を受賞した故・ネルソン・マンデラ氏らの尽力もあり,多様な文化が混在するアフリカ第2の経済力を持った国である.国内総生産は日本の10分の1以下であり,国民の死因の約60%が感染症で,human immunodeficiency virus(HIV)の感染率は人口の約10%にあたるという.

 WCPTは理事会をCongressに合わせて4年に1度開催しており,今回は理事会を行わない学会で規模としてはやや小さいものだが,世界100か国以上から約2,400人が参加し,うち60%は初めてのWCPT Congress参加であった.日本から飛行機乗り継ぎ1回(筆者はシンガポール経由)で約21時間かかるため移動が大変であったが,空港に到着し,学会会場にタクシーで移動する際にテーブルマウンテンという現地の代表的な山の自然美に感動し,少し疲れがとれた気がした(図1).

 学会会場に到着し参加登録手続きを行うと,南アフリカ理学療法士協会の会員や学生ボランティアが丁寧に対応をしてくれ,友好的で開かれた学会の雰囲気が感じとれた.前回のWCPT Congressから導入された学会専用アプリを用いて各発表に臨むこととなり,スマートフォンやタブレットが世界的にも広がっていることを実感した.学会プログラムの主な内容は, ① シンポジウム,② セミナー,③ ディスカッション,④ ネットワーク,⑤ 口述発表(10分間発表と,Rapid 5というスライド5枚を5分間で行う発表の2種類),⑥ ポスター発表,⑦ 病院・施設見学,⑧ 機器展示に加え,⑨ Indaba(南アフリカ現地住民の重要な会議)という特定のトピックに関する少人数での意見交換会が行われ,筆者は ③,⑤(Rapid 5)を担当した.

参考文献

1)Levac D, et al:“Kinect-ing”with clinicians:a knowledge translation resource to support decision making about video game use in rehabilitation. Phys Ther 95:426-440, 2015
2)Open Rehab Initiative. http://neurorehabilitation.m-iti.org/openrehab/(2017年7月31日閲覧)
3)Kloek C, et al:Effectiveness and cost-effectiveness of a blended exercise intervention for patients with hip and/or knee osteoarthritis:study protocol of a randomized controlled trial. BMC Musculoskeletal Disorders 15:269, 2014
4)Brown D, et al:Evaluation of a physiotherapy-led group rehabilitation intervention for adults living with HIV:referrals, adherence and outcomes. AIDS Care 28:1495-1505, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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