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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル51巻11号

2017年11月発行

文献概要

症例報告

高齢両側大腿切断者の急性期から回復期までの動作獲得の経過

著者: 宇根美里1 薬師寺高明1 目谷浩通2 花山耕三2 片山裕貴3 山本武範3

所属機関: 1川崎医科大学附属病院リハビリテーションセンター 2川崎医科大学リハビリテーション医学教室 3倉敷医療生活協同組合コープリハビリテーション病院

ページ範囲:P.1042 - P.1046

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要旨 高齢両側大腿切断者に対するリハビリテーションは難渋することが多いとされており,対象者の身体機能を十分に把握し,理学療法を行っていくことが重要である.今回,80歳台の両側大腿切断者を担当した.開始時の基本動作は全介助であった.車椅子での活動を基本とし,ADL介助量を可能な限り軽減させ,自宅退院することを長期目標と考え,急性期病院では座位練習・移乗練習を中心に行った.回復期リハビリテーション病院転院後には,座位・移乗動作の安定化・能力向上を図るためスタビー義足での立位練習が取り入られた.両側大腿切断者の座位獲得の可否は,その後のADLに多く関与するとされており早期からの座位練習は有効であったと考える.また,義足装着下での立位練習は床上動作だけでは得られない全身筋力の向上,バランス能力の向上,全身耐久性の向上が得られたと考えられる.最終的には,座位・移乗動作が自立し自宅に退院という結果を得ることができた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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