文献詳細
文献概要
とびら
薄れていく記憶
著者: 小林武1
所属機関: 1東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
ページ範囲:P.1053 - P.1053
文献購入ページに移動 ひとり車を走らせ国道6号線を南下した.行けるところまで行ってみようと思った.2時間ほど走り南相馬市に入ってしばらくすると,「通行止め」の看板と散光式警光灯をピカピカ光らせた多くの警察車両が見えた.物々しい雰囲気だった.その道程にも,あらぬ方向を向いた船や自動車,物置などいろんな物が道路脇の田畑に放置され,南下するにつれて増えていった.本来はそこから30分で福島第一原発にたどり着く.自宅から近いところにその現実はあった.
別の日,意を決して石巻と女川に行った.日和山から見た風景にはただただ言葉を失った.高台に建っている女川町立病院の1階天井近くまで海水が上がったことも知っていたが,実際にそれを見て街の匂いを嗅いでみると,胸の鼓動が速く大きくなって脚が震えた.
別の日,意を決して石巻と女川に行った.日和山から見た風景にはただただ言葉を失った.高台に建っている女川町立病院の1階天井近くまで海水が上がったことも知っていたが,実際にそれを見て街の匂いを嗅いでみると,胸の鼓動が速く大きくなって脚が震えた.
掲載誌情報