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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル51巻2号

2017年02月発行

文献概要

特集 現任研修—求められる臨床技能の習得

理学療法士に必要な臨床技能と人財育成

著者: 黒澤和生1

所属機関: 1国際医療福祉大学小田原保健医療学部

ページ範囲:P.105 - P.115

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はじめに

 人材の「材」は,役に立つ素質・能力という意味をもつ.同じ「財」という漢字は財産を意味し,人を育てることは何物にも代えがたい財産となることから,本稿では「人財育成」という当て字を使うことにする.比較的若い会員で組織される集団において,人財育成は単に職場における人間関係や特定の部署が担うものとして行われるだけではなく,日本理学療法士協会の組織運営戦略の一環として,協会員が日常的に取り組むべき組織活動と認識することが,より重要であると考える.組織としてどのような理学療法士を育成すべきなのか,また,視点を変えて一人ひとりの専門職側からみれば,自己のキャリアをどのように進めるかという到達目標を明らかにすることは喫緊の課題である.

 理学療法を取り巻く環境は,1966年の理学療法士及び作業療法士法制定時から大きく変化した.その変化に呼応した,必要とされる理学療法士像および理学療法士の臨床能力の標準化も重要な課題の一つである.他の医療専門職における資格取得後の生涯教育(新人教育を含む)では,臨床技能の習得を可視化したキャリアラダーの提示がなされており1),本稿では理学療法士の卒後教育の充実に向けた1つの提案を行いたい.

 具体的にはまず,理学療法の対象の変化と守備範囲の拡大について言及し,理学療法士に必要とされる能力について1つの提案を行う.また,キャリアラダー(イメージ)および資格取得後の基本的臨床技能の習得を目標とする新人理学療法士研修についても触れたい.

参考文献

1)日本看護協会:「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」活用のための手引き.http://www.nurse.or.jp/nursing/jissen/pdf/tebiki.pdf(2016年9月20日閲覧)
2)厚生労働省医政局医事課長:理学療法士の名称の使用等について(通知).http://www.pref.ishikawa.lg.jp/iryou/tsuchi/documents/rigakuryouhou.pdf(2016年9月20日閲覧)
3)田邊政裕,他:千葉大学医学部における学習成果基盤型教育(Outcome-based Education)の実質化—順次性のあるカリキュラム編成の工夫.医学教育42:263-269,2011
4)松下佳代:〈新しい能力〉による教育の変容—DeSeCoキー・コンピテンシーとPISAリテラシーの検討.日本労働研究雑誌53:39-49,2011
5)海保博之(監),山口裕幸(編):コンピテンシーとチーム・マネジメントの心理学.朝倉書店,pp3-4,2009
6)Bloom BS, et al:Taxonomy of educational objectives:The classification of educational goals. David McKay Campary, New York, 1956

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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