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特集 現任研修—求められる臨床技能の習得 臨床技能の習得に必要な現任研修の実情と展望
7.リハビリテーション部門マネジメントに必要な臨床技能
著者: 八木麻衣子1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学東横病院リハビリテーション室
ページ範囲:P.145 - P.146
文献購入ページに移動医療機関や介護施設における組織マネジメントは,提供する医療・介護サービスの質を担保するためにも重要な臨床技能の一つと考えられる.もちろん,医療専門職としての大命題は「目の前にいる患者や利用者をリハビリテーションの専門家として診療し,最善の医療を提供して成果を上げること」であるが,その一方で,個人では成し遂げられない高度専門集団としての大きな成果を上げるために,組織として「ヒト」,「モノ」,「カネ」,「情報」などの経営資源を管理し,提供する医療・介護サービスの質を改善しつつ,組織全体として成長していくことはとても重要である.
医療機関や介護施設のマネジメント論は,リハビリテーション部門に限らず,いまだ確立されたものはなく,また,「これさえ受けておけばマネジメントが完璧に行える」などという現任研修も存在しない.そのため,さまざまな経営理論の枠組みを応用しつつ,実際の臨床現場に落としこむことができる能力が重要となる.その際に注意すべきことは,既存の理論はあくまで自分の思考の軸足を確認するためのもので,決してそのまま用いることはできない,ということである.全体の意思決定を行うにしろ,業務改善を行うにしろ,経営理論の枠組みを用いるということは,自分たちが抱えている問題点を明らかにし,それに対して対策を考えるためのツール(道具)に過ぎないということを意識することが重要である.
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