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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル51巻3号

2017年03月発行

文献概要

特集 通院・通所における理学療法を再考する

整形外科領域における通院の理学療法

著者: 渡邉幸勇1 鍋島雅美1 新保雄介1

所属機関: 1鎮誠会千葉きぼーるクリニックリハビリテーション科

ページ範囲:P.197 - P.205

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整形外科領域の外来リハビリテーション

 現在,整形外科領域の医療費は伸びており,日本の人口構造上急速な高齢化(2042年3878万人がピーク)を反映している(表1,2)1).外来1日あたりの医療費総点数は年々増加しており,総点数に対するリハビリテーションの割合も増加している(図1).また,外来1件あたりの医療総点数はほぼ横ばいであるが,それに占めるリハビリテーションの割合は微増しており,直近5年で平均0.19%増となっており,年々伸び率は小さくなっている(図2)2).高齢者人口の自然増加と介護保険への移行などを考えれば低く抑えられているようにも考えられる.

 また,傷病分類別医療費をみると,「筋骨格系及び結合組織の疾患」は65歳未満では「その他」に分類されているが,65歳以上になると3位に位置づけられることからも,高齢化が進むほど疾患別リハビリテーションや通所リハビリテーションのニーズが高まると考えられる(表3)3).さらに,要介護の主要な原因として,加齢性運動器疾患である骨折・転倒と関節疾患が合計22.7%を占め,脳血管疾患の18.5%を上回る(図3)4).それら高齢者のニーズは,60%以上が自宅での療養を希望している.そして,必要になれば緩和ケア病棟や医療機関での入院を希望しており,住み慣れた地域で生活が継続することを望んでいる5).このように,急速な高齢化や加齢性運動器疾患の増加,自宅療養など患者のニーズ,国策としての地域・在宅医療の推進などが追い風となり,理学療法士の供給数も増え患者のニーズに応えられるようになってきており,整形外科領域の疾患別リハビリテーションの医療費が徐々に増加してきている.

参考文献

1)厚生労働省:平成26年度医療費の動向.http://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/14/dl/iryouhi_data.pdf(2016年7月22日閲覧)
2)厚生労働省:平成8〜27年(2015)社会医療診療行為別統計の概況.http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/26-19c.html(2016年8月15日閲覧).
3)厚生労働省:平成25年度国民医療費の概況.http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/13/dl/data.pdf(2016年7月22日閲覧)
4)厚生労働省:平成26年グラフで見る世帯の状況—国民生活基礎調査(平成25年)の結果から.http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h25.pdf(2016年8月1日閲覧)
5)厚生労働省:終末期に関する調査,2008.http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1027-12e.pdf(2016年8月15日閲覧)
6)厚生労働省:平成26年度診療報酬改定の結果検証に係わる特別調査(平成27年度調査)廃用症候群に対するリハビリテーションの適正化,リハビリテーションの推進等による影響や維持期リハビリテーションの介護保険への移行の状況を含むリハビリテーションの実施状況調査調査結果概要(速報)(案).http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000104611.pdf(2016年8月15日閲覧)
7)厚生労働省:平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査).http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000051764.pdf(2016年9月20日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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