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特集 通院・通所における理学療法を再考する
整形外科領域における通院の理学療法
著者: 渡邉幸勇1 鍋島雅美1 新保雄介1
所属機関: 1鎮誠会千葉きぼーるクリニックリハビリテーション科
ページ範囲:P.197 - P.205
文献購入ページに移動現在,整形外科領域の医療費は伸びており,日本の人口構造上急速な高齢化(2042年3878万人がピーク)を反映している(表1,2)1).外来1日あたりの医療費総点数は年々増加しており,総点数に対するリハビリテーションの割合も増加している(図1).また,外来1件あたりの医療総点数はほぼ横ばいであるが,それに占めるリハビリテーションの割合は微増しており,直近5年で平均0.19%増となっており,年々伸び率は小さくなっている(図2)2).高齢者人口の自然増加と介護保険への移行などを考えれば低く抑えられているようにも考えられる.
また,傷病分類別医療費をみると,「筋骨格系及び結合組織の疾患」は65歳未満では「その他」に分類されているが,65歳以上になると3位に位置づけられることからも,高齢化が進むほど疾患別リハビリテーションや通所リハビリテーションのニーズが高まると考えられる(表3)3).さらに,要介護の主要な原因として,加齢性運動器疾患である骨折・転倒と関節疾患が合計22.7%を占め,脳血管疾患の18.5%を上回る(図3)4).それら高齢者のニーズは,60%以上が自宅での療養を希望している.そして,必要になれば緩和ケア病棟や医療機関での入院を希望しており,住み慣れた地域で生活が継続することを望んでいる5).このように,急速な高齢化や加齢性運動器疾患の増加,自宅療養など患者のニーズ,国策としての地域・在宅医療の推進などが追い風となり,理学療法士の供給数も増え患者のニーズに応えられるようになってきており,整形外科領域の疾患別リハビリテーションの医療費が徐々に増加してきている.
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