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特集 理学療法と下肢装具
下肢装具を用いた日常生活活動練習と理学療法
著者: 鈴木英樹1 兒玉健宏2
所属機関: 1北海道医療大学リハビリテーション科学部 2新さっぽろ脳神経外科病院新さっぽろ在宅リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.311 - P.317
文献購入ページに移動脳血管障害をはじめとする各種神経障害を有する方々が日常生活を送るうえで下肢装具着用が有用になる場合は少なくない.「理学療法診療ガイドライン(第1版)」1)における脳卒中理学療法診療ガイドラインにおいても装具(下肢装具)を用いた歩行練習は推奨グレードAとされており,その解説において,努力性歩行の軽減や歩行時のエネルギー効率改善の観点から,早期からの積極的な使用が近年の傾向となっていると述べられている.
装具が日常生活活動(以下,ADL)に及ぼす具体的な効果に関する報告として,以下のような内容が挙げられる.Hungら2)は,慢性期脳卒中患者に対する前方支柱型装具の装着時と非装着時での6分間歩行,転倒の影響度などを調査した結果,本装具は機能的な歩行と転倒予防に効果的であり,若い人や歩行能力の低い患者に有効であったと述べた.Danielssonら3)はカーボン製短下肢装具は,非装着時よりも歩行速度の向上,エネルギー消費の減少につながる可能性があると報告している.またShefflerら4)は,短下肢装具装着時には,非装着時よりも床上およびカーペット上でのtimed up & go testにおいて機能的歩行が向上すること,Pohlら5)は個人に合わせて作製された短下肢装具は歩行能力を高められることをそれぞれ報告した.ただしこれらの装具着用の効果についての報告は「歩行」に対するものがほとんどである.歩行という活動場面においては,下肢装具が有する「関節の固定や制御」といった基本的機能が良好に働いている.
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