1ページ講座 障がい者スポーツ
ゴールボール
著者:
加藤瑛美1
菊池拓道2
所属機関:
1横浜市スポーツ医科学センター
2医療法人地の塩会とだ小林医院
ページ範囲:P.436 - P.436
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ゴールボールは,鈴の入ったボールをお互いに転がしあい(場合によってはバウンドさせ),相手ゴールに入れて得点を争う対戦型競技です.選手は音を頼りに競技するため,プレー中に観客は音を出しての応援ができません.投げる際には決められた範囲の2か所に必ずバウンドさせないといけないという決まりがあり,定められたとき以外は音を出したり,コーチが指示を出すことも禁止されています.選手は条件を平等にするために全員アイシェード(目隠し)を着けてまったく見えない状態でプレーし,アイシェードには許可が出るまで触れることができません.うまくコミュニケーションをとらないと味方の位置さえもわからず,そのなかでフェイクやコンビネーション,移動や速攻などを駆使して相手にコンマ数秒の隙をつくり出し,ゴールを狙います.そのため,瞬発力とパフォーマンスを維持し続ける筋持久力が必要であり,さらに1.25kgものボールを全力で投げ,全身で止めることから全身の総合的な強さも必要となります.海外の選手は非常に身体が大きく,年々強く・弾むボールを投げるように変化してきています.それに耐え得る身体づくり,高度な戦略が今後の課題となってきます.
外傷時の応急処置やテーピング,練習後のケア,大会や合宿での体調管理やコンディショニング,その時期のチーム方針にあわせたメニューづくりなど,理学療法士としてゴールボールのチームにかかわれることはたくさんあります.特に専門的な知識を生かしてプレーを観察することにより傷害を未然に防ぐことも,重要な役割となります.