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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル51巻8号

2017年08月発行

文献概要

臨床実習サブノート 歩行のみかた・5

パーキンソン病

著者: 須貝恵理1

所属機関: 1札幌山の上病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.709 - P.713

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はじめに

 パーキンソン病の有病率は人口10万人に対し約150人と言われており,好発年齢は50〜70歳です1).日本では高齢化とともに患者数が年々増加しています.原因は不明ですが,中脳の黒質ドパミン性神経細胞の変性,減少によりドパミン産生が減少し,ドパミンが正常の20%以下になると大脳基底核の機能障害により運動症状が出ると言われています2)(図)3)

 症状は,運動症状(安静時振戦,筋固縮,無動,姿勢反射障害)と非運動症状(精神症状,起立性低血圧,認知機能障害,リズム形成障害など)の2つに大別されます1).そのなかで歩行障害は運動症状と非運動症状の両面から影響を受けており,また,病期の進行によって変化していきます.罹患している年齢層も高齢者が多くなるため,場合によっては,加齢により脳血管性パーキンソン症候群の症状が混在してくる症例にも多く出会います.そのため,歩行障害の種類は多様であり,またメカニズムも複雑で症例それぞれに合わせてアプローチしなければ,対処することは困難です.特に歩行障害は日常生活のなかでの移動としての制限因子につながりやすいため,症例や家族から「歩けるようにしてほしい.転ばないようにしてほしい」といったニーズを聞く機会も多くあります.

 一見難しそうに感じるかもしれませんが,「見方」の基本となるのは正常歩行です.研究や多くの論文が発表されていますので,神経生理学的な説明は,参考文献などを参照していただきたいと思います.本稿では,パーキンソン病の歩行障害についての概説と筆者が普段臨床で行っている方法やポイントなどを紹介します.

参考文献

1)山永裕明,他:図説 パーキンソン病の理解とリハビリテーション.pp2-5,三輪書店,2010
2)林 明人:症例を通して学ぶ神経難病のリハビリテーション パーキンソン病 すくみ足等,歩行障害の増悪がみられる症例.臨床リハ(別冊):58-62,2012
3)Lewis SJ, et al:A pathophysiological model of freezing of gait in Parkinson's disease. Pakinsonism Relat Disord 15:333-338, 2009
4)Djaldetti R, et al:Comptocormia(bent spine)in patient with parkinson's disease-characterization and possible pathogenesis of an unusual phenomenon. Mov Disord 14:443-447, 1999
5)小浦綾乃,他:在宅パーキンソン病患者における転倒—アンケート調査から.作業療法24:593-600,2005
6)Giladi N, et al:Motor blocks in Parkinson's disease. Neurology 42:333-339, 1992
7)Giladi N, et al:Freezing of gait in PD:Progressive assessment in the DATATOP cohort. Neurology 56:1712-1721, 2001
8)高草木 薫:大脳基底核による運動の制御.臨神経49:325-334,2009
9)窪田俊夫,他(監),臨床歩行分析研究会(編):歩行障害の診断・評価入門.pp183-192,医歯薬出版,1997
10)稲井晴子:パーキンソン病の歩行障害症状に変化をもたらすリズム刺激の方法および選曲等の嗜好反映の影響—音楽療法実践についての文献レビュー.聖路加看会誌16:1-9,2012
11)Ashour R, et al:Joint and skeletal deformities in Parkinson's disease, multiple system atrophy, and progressive supranuclear palsy. Mov Disord 21:1856-1863, 2006
12)安藤一也,他:リハビリテーションのための神経内科学,第2版.pp28-31,医歯薬出版,2003
13)山本光利(編著):パーキンソン病—臨床の諸問題2.pp12-19,162-169,中外医学社,2011
14)高草木 薫:大脳基底核による運動の制御.臨神経49:pp63-64,2009
15)Podsiadlo D, et al:The timed“Up & Go”:a test of basic functional mobility for frail elderly persons. J Am Geriatr Soc 39:142-148, 1991
16)奈良 勲(監),松尾善美(編著):パーキンソン病の理学療法.pp120-131,医歯薬出版,2011
17)奈良 勲,他(編):姿勢調節障害の理学療法.pp150-211,医歯薬出版,2004
18)大築立志,他(編著):ヒトの動きの神経科学シリーズⅡ 歩行と走行の脳・神経科学—その基礎から臨床まで.pp58-69,市村出版,2013
19)八谷瑞紀,他:パーキンソン病患者におけるバランス障害と理学療法.PTジャーナル48:15-23,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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