文献詳細
文献概要
臨床実習サブノート 歩行のみかた・5
パーキンソン病
著者: 須貝恵理1
所属機関: 1札幌山の上病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.709 - P.713
文献購入ページに移動パーキンソン病の有病率は人口10万人に対し約150人と言われており,好発年齢は50〜70歳です1).日本では高齢化とともに患者数が年々増加しています.原因は不明ですが,中脳の黒質ドパミン性神経細胞の変性,減少によりドパミン産生が減少し,ドパミンが正常の20%以下になると大脳基底核の機能障害により運動症状が出ると言われています2)(図)3).
症状は,運動症状(安静時振戦,筋固縮,無動,姿勢反射障害)と非運動症状(精神症状,起立性低血圧,認知機能障害,リズム形成障害など)の2つに大別されます1).そのなかで歩行障害は運動症状と非運動症状の両面から影響を受けており,また,病期の進行によって変化していきます.罹患している年齢層も高齢者が多くなるため,場合によっては,加齢により脳血管性パーキンソン症候群の症状が混在してくる症例にも多く出会います.そのため,歩行障害の種類は多様であり,またメカニズムも複雑で症例それぞれに合わせてアプローチしなければ,対処することは困難です.特に歩行障害は日常生活のなかでの移動としての制限因子につながりやすいため,症例や家族から「歩けるようにしてほしい.転ばないようにしてほしい」といったニーズを聞く機会も多くあります.
一見難しそうに感じるかもしれませんが,「見方」の基本となるのは正常歩行です.研究や多くの論文が発表されていますので,神経生理学的な説明は,参考文献などを参照していただきたいと思います.本稿では,パーキンソン病の歩行障害についての概説と筆者が普段臨床で行っている方法やポイントなどを紹介します.
参考文献
掲載誌情報