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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル51巻8号

2017年08月発行

文献概要

症例報告

母趾種子骨の疲労骨折による疼痛に対し結合組織の柔軟性改善が有効であった1症例

著者: 上川慎太郎1 岡西尚人1 加藤哲弘1

所属機関: 1平針かとう整形外科

ページ範囲:P.715 - P.719

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要旨 本邦における母趾種子骨疲労骨折についての報告の多くは,手術方法や足底挿板療法に関するものが多く,われわれが渉猟した限り運動療法に関する報告は認めない.今回,母趾内側種子骨の疲労骨折が原因で歩行時痛が出現した症例を経験した.超音波画像診断装置を用いた評価を参考に運動療法を行い,良好な治療成績が得られた.母趾内側種子骨は第一中足骨頭底側部にあり,短母趾屈筋内側頭が内側種子骨を足底から覆うように走行する.母趾内側種子骨と短母趾屈筋,第一中足骨に囲まれた領域には疎性結合組織が存在し,母趾の屈伸に伴いその形状を柔軟に変化させながら,種子骨の移動を円滑にさせている.本症例は疎性結合組織の拘縮により種子骨の可動範囲が制限され,疼痛を惹起させていたと推察した.

参考文献

1)安田稔人:母趾種子骨障害.整・災外56:739-745,2013
2)Richardson EG:Campbell's Operative Orthopaedics, Chapter81. pp3805-3906, e5, Mosby, Maryland, 2012
3)Sobel M, et al:The microvasculature of the sesamoid complex:its clinical significance. Foot Ankle 13:359-363, 1992
4)青木隆明(監),浅野昭裕(著):運動療法に役立つ単純X線像の読み方.p109,メジカルビュー社,2011
5)橋本健史:成人母趾障害—母趾種子骨障害 The hallucal sesamoid disorders.関節外科32:61-66,2013
6)高木泰孝,他:長期間観察し得た母趾種子骨障害の1例.整・災外38:873-878,1995
7)桝田義英,他:母趾種子骨障害について.整形外科38:74-79,1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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