icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル51巻9号

2017年09月発行

文献概要

入門講座 「はじめて」への準備(臨床研究編)・3

臨床研究のデータを収集・分析しよう

著者: 生野公貴1

所属機関: 1西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.791 - P.797

文献購入ページに移動
はじめに

 “臨床研究”と聞くと身構えてしまう人が少なくないのではないだろうか.「臨床家であるから研究はしなくてもよい」,あるいは「研究ばかりやっていると臨床がおろそかになる」,「臨床が忙しくて研究ができない」など,研究と臨床があたかも相反するものや干渉し合うものと捉える声がよく聞かれるが,はたしてそうであろうか.

 歴史的にみても,研究なくして臨床医学の発展はなく,リハビリテーション領域も然りである.「医療の現場にいる臨床家は,エビデンスの消費者であると同時に生産者でなくてはならない」とも言われる1).世界理学療法連盟(World Confederation for Physical Therapy:WCPT)の教育ガイドラインにも“研究”の項目があるように,理学療法士において研究の理解・実践はもはや必須項目であろう.とは言え,いくら研究法を机上で勉強しても,あるいは論文を読み漁っても臨床研究の実際や本質を理解するのは困難であり,臨床研究を理解するうえで何より重要なことは実践による経験知であると思われる.本稿では,普段の臨床での問題意識から,単一事例での仮説検証手続きを経て,やがてそれを一般化させるという一連の臨床研究プロセスを具体的に紹介したい.

参考文献

1)川村 孝:臨床研究総論—臨床研究の必要性,考え方,そして倫理問題.総合リハ35:49-54,2007
2)福原俊一:臨床研究者育成のための戦略とロード・マップ.学術の動向8:43-52,2006
3)Chan L, et al:Elevating the quality of disability and rehabilitation research:mandatory use of the reporting guidelines. Phys Ther 94:446-468, 2014
4)板場英行:エビデンスに基づく理学療法—理学療法診療ガイドラインを読み解く—徒手理学療法.理学療法学43:263-272,2016
5)Gagnier JJ, et al:The CARE Guidelines:consensus-based clinical case reporting guideline development. Glob Adv Health Med 2:38-43, 2013
6)Tate RL, et al:Rating the methodological quality of single-subject designs and n-of-1 trials:introducing the Single-Case Experimental Design(SCED)Scale. Neuropsychol Rehabil 18:385-401, 2008
7)Vohra S, et al:CONSORT extension for reporting N-of-1 trials(CENT)2015 Statement. BMJ 350:h1738, 2015
8)徳久謙太郎,他:根拠に基づく臨床実践のための帰結評価指標の有効利用法.保健医療学雑誌5:58-68,2014
9)D. H. バーロー,他(著),高木俊一郎,他(監訳):一事例の実験デザイン—ケーススタディの基本と応用.二瓶社,1997
10)Schulz KF, et al:CONSORT 2010 statement:updated guidelines for reporting parallel group randomized trials. Ann Intern Med 152:726-732, 2010
11)Boutron I, et al:Extending the CONSORT statement to randomized trials of nonpharmacologic treatment:explanation and elaboration. Ann Intern Med 148:295-309, 2008
12)対馬栄輝:統計解析の進め方—分散分析Ⅰ.理学療法28:932-941,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?