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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル52巻1号

2018年01月発行

文献概要

入門講座 歩行・1【新連載】

歩行のバイオメカニクス

著者: 長田悠路1

所属機関: 1社会福祉法人農協共済中伊豆リハビリテーションセンター

ページ範囲:P.51 - P.57

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理学療法士は歩行の何を知っておくべきか

 理学療法士として対象者の歩行を評価し介入するために,歩行動作について何を知っておくべきなのだろうか.歩行の立脚期に骨盤が何°回旋するのか,膝は何°曲がるのか,重心は何cm側方へ移動するのか,学生時代にはこういった類の数字を必死になって暗記した.試験が終わり,大方の数字を忘却した後に残ったのは,「歩行は難しい」という印象だけである.各関節が歩行時に何°動くかという具体的数値の記憶は基準値としての参考にはなるかもしれない.しかし,それらの数値はある一定した条件で計測された際の結果でしかなく,歩行速度が変化するだけでも大きく変わってしまう1)

 なぜそのように動くかという理屈を知っておけば,臨床でも応用を効かせて対応することができる.動作の理屈を解き明かす手立ての一つに生体力学(バイオメカニクス)がある.バイオメカニクスと聞くだけで難しいという印象を受ける方もいるかと思うが,本稿はなるべく図を多く使い,グラフなどの複雑な表現は極力用いずに歩行の仕組みを解説したい.

参考文献

1)Orendurff MS, et al:The effect of walking speed on center of mass displacement. J Rehabil Res Dev 41:829-34, 2004
2)Saunders J, et al:The major determinants in normal and pathological gait. J Bone Jt Surg Am 35-A:543-558, 1953
3)Rose J:Human Walking, 3rd ed. Lippincott Williams & Wilkins, pp9-10, 2006
4)Elftman H:The function of muscles in locomotion. Am J Physiol 125:357-366, 1939

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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