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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル52巻1号

2018年01月発行

文献概要

症例報告

超音波による評価が理学療法に有効であった変形性足関節症の一症例

著者: 赤羽根良和1 一氏幸輔1 小瀬勝也1 棚瀬泰弘1 栗林純1

所属機関: 1さとう整形外科リハビリテーション科

ページ範囲:P.79 - P.84

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要旨 変形性足関節症が起因となり,歩行時に足関節外側部痛と前方部痛を有した症例を経験した.X線所見ではthe angle between the tibial shaft and the tibial joint surface on the anteoposterior view(TAS)角の減少,距骨の内反化,踵骨の回外位が確認され,脛骨下端前方の骨棘と距骨頸部の変形によって足関節の背屈可動域を求めることは困難と判断した.理学所見では距腿関節の外側面に圧痛があり,歩行時にこの部位に疼痛を訴えたことから腓骨外果関節面と距骨外側面とが離解し,ここを連結する組織に牽引刺激が加わったと考えた.また,足関節背屈時に前方部痛を認めたが,これは距腿関節の前方インピンジメントが原因と考えた.

 理学療法では回内可動域の増大を目的としたストレッチングと回外筋力のエクササイズを行った.足底挿板では踵骨および距骨下関節を水平位に矯正することで足関節外側部痛は軽快し,さらに足関節の背屈可動域の不足分をヒールアップで補正したことで足関節前方部痛は消失した.しかし,ヒールアップによって第1リスフラン関節の伸展が強要されて疼痛を惹起した.そのため,ヒールアップを除去し,母趾中足骨底の近位に中足骨パッドを貼付することで,リスフラン関節の伸展を制御し,疼痛は消失した.また,超音波画像から足関節の背屈に伴う前方インピンジメントが否定されたため,背屈可動域を増大させていった結果,前方部痛は消失した.今回,超音波画像を用いることで,可動域の増大が期待できると判断した.超音波画像は,関節内運動を視覚的に観察できるため,理学療法士にとって有用なツールになると考えられる.

参考文献

1)田中康仁,他:変形性足関節症の病態.Orthopaedics 13:42-50,2000
2)田中伸哉,他:変形性足関節症に対する足関節固定術.整・災外51:901-909,2008
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4)熊井 司,他:初期変形性足関節症に対する高分子ヒアルロン酸関節内投与の臨床効果.日足の外科会誌25:S71,2004
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6)寺本 司:変形性足関節症に対する脛骨遠位骨切り術.整・災外51:889-899,2008
7)鳥養英治,他:足関節固定術を施行した5例の経験.中部整災誌48:519-520,2005
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9)赤羽根良和,他:ストレッチングと足底挿板が有効であった両側変形性足関節症例.PTジャーナル44:823-828,2010
10)赤羽根良和,他:変形性足関節症に対する運動療法について.第20回岐阜県理学療法学会:46,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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