icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル52巻10号

2018年10月発行

文献概要

とびら

変化し続ける状況

著者: 新田收1

所属機関: 1首都大学東京健康福祉学部

ページ範囲:P.891 - P.891

文献購入ページに移動
 1986年,重症心身障害児専門病院で理学療法士として働き始めた.対象者の多くは座位を保持することもできなかった.理学療法士として何ができるのか,手探りの日々だった.

 病院には外来がなく,200人ほどの入所者は退院せず,生活の場となっていた.この状況は,現在の感覚からすると違和感をもつだろう.近年,障害が重度であっても,在宅ケアが一般的となっており,退院を前提としない方針は理解できないと思われるだろう.当時,病院は設立20年目を迎えており,節目として施設史を振り返る機会があった.1968年開設時,重度な障害をもつ脳性麻痺児は,在宅で静かに育てられていた.そのため,専門的な医療ケアを受ける機会は十分とは言えなかった.この状況に対し,専門病院の使命として,家族を説得し,病院への入所を促した.つまり,病院入所が,彼らにとって初めての社会参加だった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら